循環のサラダ・温泉で野菜を茹でる

170万年前に人類が初めて調理をしたのは、薪焼きではなく温泉による調理だったという説がある程、プリミティブな調理法。
信州野沢温泉の台所「麻釜」(おがま)では、住民が採れた野菜や山菜を麻釜に持ち込み、茹でる。
ガスも電気も使わず、コンコンと湧き出る温泉で食材と会話をしながら火を通す。
今日の出来はどうか?どこが一番美味しい瞬間か?
人が温泉に浸かり温まるように、野菜にとっても温泉による加熱は特別な効果をもたらす。

じんわりと優しく火が入ったり、
甘みが際立ったり
ほんのりと硫黄の香りがなんとも言えなかったり
雨や雪がブナなどの木々、土を通り地中に染み込み、地中のマグマにより加熱され、温泉となって湧出するまでおよそ50年を要すると言われる。
そんな途方もない歳月の中を循環する水により野菜が育ち、また野菜を調理する熱源になる。

水が巡る50年の循環の中で調理をした一皿。
「循環の皿」
50年がかりの料理です。
◆ハウスサンアントン
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