やっと、春がくる
3月も2週目に入り、ようやく冬の厳しさも和らいで参りました。ところどころ、春の息吹も感じられる栃尾又温泉です。
この地で湯治宿を営むにあたって、なにが最も大変かと問われれば、やっぱり雪との闘い。それが、終わりを迎えることに、とりあえずホッと胸を撫でおろすのでした。
いやいや、死ぬまでにあと何回あると思っているのだ、安心してる場合じゃない。と、勝手に一人で突っ込んでおります。
個人的に、1年の中で春が一番好きです。雪解けの隙間から、顔を出す土と、小さく芽吹く植物の香りというか、香りというには、地味なので、匂いといいますか。あの匂いがたまらなく好きです。
土の匂い、植物の青々しい匂い
ああ、春が来たなあ・・・・・と、うれしくなります。
四季のはっきりしている日本ならではの、こういった季節の移り変わりは、私たちにとっては至極当たり前なのでしょうが、実は地球上では、珍しいことらしいのです。
年中同じ気候、または、あまり変化のないところの方が、地球上は多いのだそうで、自然の移り変わりを自然の中で感じられるこの環境自体、とても贅沢なことだと感じます。
私たち湯守の仕事は、宿と温泉だけでなく、こういった里山の環境を考え共に暮らしていくことだよなぁ。と、思うようになりました。小さな頃から当たり前にあった環境ですが、ここでしか感じられない場所のエネルギーといいますか、空気感。「いやいや、山奥なんてどこも一緒でしょ」と言われれば、それまでなのでしょうが、やっぱりなにか違う、その土地土地の場の空気というものがある様に思うのです。
そんなここだけにしかない、土地土地の場の力を、湯治宿として紡いでゆきたい、そう改めて思った、冬の終わりのとある一日でした。
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