析出コーティング壺噴き上げ湯口【姫川温泉 ホテル国富 翠泉閣】
楕円形の湯船の真ん中に君臨する巨大な壷。その中から噴水のようにドバドバと源泉を放出し、浴槽へバシャバシャと元気よく供給してくれています。圧倒的な湯量で、湯口さん全面、赤茶褐色の析出物でオールコーティング。あー、この壺の中で源泉に溺れたい、、、
山あいの景色に負けない存在感のリゾートホテル型旅館「姫川温泉 ホテル国富 翠泉閣」
長野県小谷村と新潟県糸魚川市の境である、姫川沿いに湧く、姫川温泉。1950年代開湯と比較的新しく、現在は長野県側に宿、温泉施設が計3軒、新潟県側に宿が1軒の小さな温泉地です。県をまたぐ温泉地とは、意外と珍しいですよね。
今回ご紹介する「ホテル国富 翠泉閣」は、そんな姫川温泉の新潟県側にあります。リゾートホテルを想わせる巨大な外観は、山あいのダイナミックな景色に負けないくらいの存在感です。館内も広々としていて、大型のお宿ならではの重厚な安心感がありますね。
広々とした大浴場! この湯船をオーバーフローする豪快なかけ流しが気持ちいい
お風呂は、男女別の大浴場と、宿泊者専用の貸切露天風呂3か所の計4つ。男女別大浴場は、男性用が「八千矛の湯」、女性用は「奴奈川の湯」と名付けられ、それぞれ内湯と露天風呂があります。
「八千矛の湯」の内湯は、三角屋根の高い天井に大きな窓が配置され、明るくて広々としたつくり。そこに20人は一度に入れそうな、楕円形のお風呂があり、いかにも大型旅館といった感じの空間です。こんな大きい浴槽ですが、なんと「かけ流し」。壺型の湯口さんからはバシャバシャと源泉が噴き出し、湯船のふちからザーザーと、波打ち際のようにオーバーフローしています。圧巻の源泉大量投入が気持ちいいですね。
露天風呂も広々としていて、10人は一気には入れそうな大きさ。地元・姫川の巨石を積み上げた、ダイナミックな設えです。訪れたのは夏の時期だったので、虫さん対策からか、ネットがかけられていましたが、湯の香りに山の緑を含んだ風の香りが心地よかったです。
薄めのレモンハイボールのようなフレッシュで爽快な源泉
泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。毎分1,500リットルの湯量を誇る53℃の源泉を、加水のみで惜しげもなく「かけ流し」ており、鮮度も抜群です。
薄くオリーブグリーンに濁ったお湯は、鮮度の良い金気と芳醇な土の香りミックスで、小学生のころ、駄菓子屋でよく食べていた懐かしい甘いお菓子のような香り。ツルツルスベスベ感の中に、キュッキュと肌に引っかかる感触があり、にぎやかなミネラル構成を感じられました。飲んでみると、甘塩ダシ味、鉄味のジューシーな飲み口。シュワっと微炭酸なのど越しも感じ、薄めのレモンハイボールのような味わいでした。何杯でも飲みたくなる美味しさです。
析出コーティングでアンティークの趣きすら感じる壷湯口さん
そんなフレッシュな源泉供給を支える湯口さんたち。男性用大浴場の内湯にいらっしゃるのは、壺の湯口さんです。
大きな楕円形の湯船のど真ん中に陣取るその姿は、浴室全体のシンボルのような存在感。そこから、ジャバジャバと源泉を噴出させる光景は、露天風呂から見る山々の景色に負けないくらいの絶景ですね。長年の湯口業務で培ったスキルと信頼は、壷湯口さん全体にコーティングされた、赤茶褐色の析出物となって体現されています。アンティークのような美しい色彩です。
あー、この壺の中で源泉に溺れて堪能して、一体化したい、、、
温泉情報
【姫川温泉 ホテル国富 翠泉閣】
・住所:新潟県糸魚川市大所885-1
・電話:0255-57-2000
・URL:http://kunitomi.co.jp/
・泉質:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(低張性 中性 高温泉)
・源泉温度:53.2℃
・pH:6.6
・湧出量:1,500ℓ/分(?)
・加水:あり
・加温:なし
・消毒:なし
・利用状況:かけ流し
※訪問時の情報です(2023年7月)
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