湯治と呼吸と歩行 – 温泉会議
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『現代湯治』を複数のメンバーが語り合うように記事を執筆します。温泉でストレスを放電、心をふわりと軽く。ひとりでもふらりと行ける温泉宿の毎日をのぞいてみませんか。

湯治と呼吸と歩行

若旦那

こんにちは。本日は、より良い湯治をしていただくために、また、普段の生活をより健やかにお過ごしいただくために、現場でお客様にご案内していることを綴ります。

内容としては、なんのことはなく「呼吸と歩く事を大切に」ということです。では、なぜそのあたりまえのことを綴ろうかと思うかというと

当たり前なことは、日々意識しないし、忘れがち

私たちの脳は、飽き性で、常に新しいものを求めてしまう習性があります。当たり前になってしまったことは疎かに、置き去りにされてしまいがちです。だからこそ、当たり前なことをもう一度、丁寧にやってみる。湯治においては特に大切だと思っているのです。

私が大切だと思うことは、①呼吸 ②歩行、この二つです。

1、呼吸を、深く、ゆっくりと行う

よく腹式呼吸のやり方が様々紹介されていますが、自在館的には、あれこれと考えるよりこの2つ「ゆーっくり、ふかーく」を意識する。そうすると、否が応でも横隔膜をしっかり使って呼吸ができます。ゆーっくり、ふかーく、坐禅をするかのごとく、息を吸って吐く事、それ自体に想いを巡らせる。すると、いかに自分が普段、呼吸が浅くなっているということに気づきます。新鮮な空気を胸いっぱいに取り込むと、それだけでも気持ちが良くなります。

2、歩く

二つ目は歩く事、これも人間の動作の基本中の基本です。たぶん、皆さん飽き飽きしてしまっているのではないかと。笑

でも、この歩くという行為、以外と全身の筋肉をフル稼働して行う動作、尚且つ、バランスをとったり、足元の障害物を把握したり、なにか危険がないかを察知したり、歩くという行為の中で脳も程よく機能しています。

湯治の間、何をすればいいのかと悩んだら、是非、お散歩に出かけてください。日本の湯治宿は幸い山中の宿が多く、付近を散策するだけでもとても気持ちが良いものです。

先ほどの呼吸と合わせて、ゆっくり、ふかく、丁寧に歩く。

血行もよくなり、体の巡りが良くなります。すると自然と気分も晴れ晴れとした気持ちになるものです。

ちなみに、私は1日の中に、短くても必ず、外を散歩する習慣を取り入れています。

正直、旅館の仕事もいいことばかりではありません。

お客様からお叱りを受けることあれば、社内の人間関係で悩むこともしばしば。

そんなときに、「ちょっとリセット」と、ゆっくり、深く、呼吸を整えながら、山道を散歩する。すると、ストレスから、重くなっていた首や肩から、重さが流れ出ていくような、スッとした感覚になるのです。

心と体はつながっている。心が体を動かすように、逆もしかり、体が心を動かしていく。それを強く実感するのです。

湯治に出かけた際には是非、呼吸すること、歩く事、この当たり前すぎて、普段意識をしない、人間が生きる上での基本動作、これを、じっくりと見つめなおしてはいかがでしょうか?

星宗兵
若旦那
400年続く湯治宿(新潟県・栃尾又温泉 自在館)の若旦那、趣味は野球・スキー、ゴリゴリの体育会系、暇があれば山遊び。温泉が湧き続ける限りこの里山を守りたい。
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