今年7月にオープンした冨士屋ホテルで極上の鉄輪暮らし体験 – 温泉会議
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北の湯から南の湯から。日本全国の温泉を繋ぐ「湯戸端会議室」。温泉に浸って地元のレアな話が聞きたくなったら、この場所へお立ち寄りください。

今年7月にオープンした冨士屋ホテルで極上の鉄輪暮らし体験

温泉会議事務局長

大分県別府市鉄輪のシンボルとも言えば、旧冨士屋旅館。明治32年築の登録有形文化財で、別府で唯一現存する明治の旅館建築です。

この旧冨士屋旅館に併設する形で、2025年7月末に冨士屋ホテルがオープン。9月末に行ってきました。

重厚感のある門

チェックインの前に、旧冨士屋旅館の建物で、スイーツやドリンクを楽しむ

ギャラリー・ホールでは様々なイベントが行われ、セレクトショップではとっておきの逸品を購入できます。また、カフェ「冨士屋Hall&Gallery一也百」では素敵な建物と庭園を堪能しながらゆっくりカフェタイムを過ごせます。宿泊していない方でもカフェとショップの利用は可能です。

私はティーラウンジ「神来ラウンジ」が大好き。古くは高浜虚子や九州の経済人も滞在したという空間は貴賓と重厚感があります。日田の名工・原田進氏による「神来(かみく)」の土を使った聚楽の土壁は夏は涼しく、冬は暖かです。

窓際のお席からは美しく手入れされた庭園が見えます。

庭の一角にはウスギモクセイが植えられていて、満開となる10月中旬は、お宿が上品な甘い香りに包まれるそうです。

この日いただいたのは、かぼすソーダ。かぼすを低温で蒸して、実もわたもすりおろして入れたもの。低温で蒸すと甘みが増すんですって。爽やかな甘みで口の中がすっきりします。

別の日には、今年最終日となる大分•日田の完熟梅のソースがたっぷりかかったかき氷。これは毎日食べたいかき氷。

2階も見せていただきました。

明治時代の要職の方々が泊まられたお部屋。重厚感とはこのことを言う。という感じ。美しい。

同じフロアには一也百ホールも。こちらでは素敵な音楽家の方を招いてのコンサートも行われています。

一也百ホール

明治時代に建物が建設されたことを示す棟札も飾られています。

そして、いよいよ冨士屋ホテルで宿泊

素敵な旧冨士屋旅館の1階でチェックイン。

チェックインは、この時期は梅ソーダでお出迎え。

チェックインするラウンジには、銀座・森岡書店オーナー、森岡督行さんが選書した書籍が並べられています。

いざ、新設された冨士屋ホテルへ。

この冨士屋ホテルは鉄骨のように見えますが、なんと木造!CLT工法というひき板(ラミナ)を繊維方向が互い違いになるように直交させて重ねて接着した、大判の木質パネル建材(CLT:クロス・ラミネーテッド・ティンバー)を用いた建築工法が使われています。あの関西万博の大屋根リングと同じ工法なんですって。温泉成分に強く耐震性もあるそうです。

写真右奥が冨士屋ホテル。
旧冨士屋旅館と冨士屋ホテルをつなぐ廊下。窓には明治時代からのガラスも使われており、明治と令和をつなぐ廊下です。

まず、現れたのは地獄蒸し窯。鉄輪といえば地獄蒸し!宿泊者が24時間自由に使える蒸し窯が用意されています。食材は宿でも購入できます。

そして、館内をスタスタと歩きお部屋へ。ちなみに各階で床に使っている木材が異なるそう。さすが森林豊富な大分。足裏で異なる木材の感覚も楽しめます。

今回私が泊まったのは、おひとりさま用のクリエイティブダブル。

お仕事をしたり本を読んだり、こもって創作活動をしたり、ひとり時間をトコトン楽しみたい方には最適な空間です。

眠りの質にとことんこだわったダブルベッドは特殊なコインが使われており、しっかり体を支えてくれます。リネンのシーツの肌触りが最高。

そして、貸し出していただいたのは、首周りと頭をしっかり支えてくれる枕。左右に寝返りを打ってもサポート力が半端ない!

そして、優しく全身を包み込むガーゼ生地のパジャマ。

朝まで爆睡できます。

お部屋のサービスも充実。森岡さんが選書した書籍がお部屋には置かれていたり、小鹿田焼の素敵なカップがあったり、この地名産のきつき紅茶やソフトドリンクが飲めたり。あー最高。

喉を潤したところで、いざ温泉へ。

お風呂は旧冨士屋旅館の建物の方にあります。明治時代からある橋を渡って竹瓦の湯へ。雅な橋を渡って、「竹」瓦の湯へ。かぐや姫のようです。午後は女性、午前は男性が入れます。

ひのきの良い香りがします。体の中いっぱいに深呼吸。

そして、この湯がなぜ「竹瓦の湯」なのか秘密がここに。なんとお湯が瓦屋根のように重ねられた竹筒の中を通って浴槽へ注ぎ込まれているのです。

色々な温泉に泊まってきたけれど、竹瓦を通して湯が注ぎ込まれているお湯はこちらが初でした。美肌成分メタケイ酸が1リットル中に611mgもあるお湯は、pH3.6の弱酸性、低張性の湯。全身の汚れが落ちてスベスベです。

竹瓦の湯はこれだけじゃありません。奥にはサウナ「蒸し湯」が!季節の生ハーブとひのきの良い香り。熱すぎず、温泉に入った後も入りやすいサウナです。この蒸し湯はぜひ入っていただきたいです。

もう一つの湯は、梅見の湯。こちらは午後は男性。午前は女性が入れます。樹齢120年の梅を眺めながら湯に浸かる。これは最高、極上です。

晴れた日は星を見ながら入れる寝湯もあります。

お湯に浸かったら、ウェルカムドリンクをいただき。

白ワインを片手に向かったのは、冨士屋ホテルの屋上「Fujiya the ROOF」。血行促進効果が期待できる「イフミック」加工がされた芝が張られた屋上からは、遠く高崎山を望み鉄輪の街を一望することができます。晴れたら別府湾も一望できるそうです。

素敵!夜も素敵でした。あいにくの雨模様でしたが、晴れている時にまた絶対来たいな。ピラティスなどもこちらで行われているそうです。あと7月末の別府湾沖であがる花火も、ここから綺麗に見えるそうですよ。

ちょっと小腹が空いたので、地獄蒸しを楽しみます。卵とさつまいもを買い、レッツ地獄蒸し。

ホックホクの蒸し芋と卵を、素敵なお庭を眺めながら味わいました。

夕食は、豪華地獄蒸し体験ディナー

いよいよ楽しみな夕食。なんと、なんと冨士屋ホテルは館内に地獄蒸しキッチンを開設したのです。蒸し窯を囲んでごはん。これぞ鉄輪!

自分で食材を持ち込んでこちらで調理することもできますが、私は50℃洗い、低温スチーミングで下ごしらえされた「地獄蒸しセット」をオプションでオーダーしました。自分で地獄蒸ししながらご飯をいただけます。この地獄蒸しセットがトコトン心もお腹も満腹になるすごいセットでした。オーダーすることを強く、強くおすすめします。

調理はスタッフの方にご指導いただきながら、自分で行います。家庭科の授業のようで、これが楽しい!お刺身以外は全て地獄蒸し窯で調理します。

宿で大切に受け継がれてきた小鹿田焼の素敵な器を選び、盛り付けていただきます。卵は温泉成分の旨味がぎっしり。醤油で煮ました?と聴きたくなるくらい濃厚な卵でした。右のお宿お手製タルタルソースもおいしかったー。

新鮮なハマグリも蒸していただき。スープもおいしい。

6時間蒸した塩麹で下味をつけた鶏のムネ肉は、これまたおいしいソースをかけて堪能。

絶品肉そぼろが乗った里芋はホックホク。シューマイはひとくち噛むと肉汁がジュワッとあふれます。

お魚もおいしい!

クロダイ、エビ、貝、お野菜がドドンと入ったブイヤベースは地獄蒸しでトコトン旨味が抽出されております。いろんなブイヤベースを食べてきましたがナンバーワンです。

福岡で行列のできるパン屋さん「サイラー」のパンも地獄蒸し。そのパンをさらに地獄蒸し。焼き立てのようなふわふわ感。毎日食べたい。

スタッフの方とおしゃべりしながら食べるのも楽しくて、あっという間に完食。楽しかったー!

朝食もすごかった!大分のめぐみがぎゅぎゅっと詰まったごちそう

朝食も地獄蒸しキッチンでスタート。

朝食もすごかった。姫島のひじき煮、柳川•成清海苔の無酸処理の海苔、佐伯の海で取れたお魚の味醂干し、6時間蒸した卵。旅人のために地のおいしいものをたくさん集めてくださって、これぞまさに「ご馳走」。ありがとうという感謝の気持ちでいっぱいになりました。

地獄蒸しで蒸して炊いたごはんはピッカピカのふわっふわ。温泉成分の旨味もプラスされている気がします。

地獄蒸しの湯気を眺めながらいただく朝食は、何倍もおいしかったです。

こちらへ足を運ぶために働きたい。そう強く思ったお宿でした。毎年来ます!

冨士屋ホテル

大分県別府市鉄輪上1組

別府駅西口からバスに乗り、鉄輪バス停下車。徒歩5分

https://kannawa-fujiya.com

しろじゅん
温泉会議事務局長
普段は企業勤めをしつつ、休日は湯巡りと日本酒を愛す。そして平日は2013年からほぼ週1で都内の朝ごはんスポットを巡り、朝活情報サイト「朝時間.jp」にて「東京ソトアサごはん会のおいしい食べある記」を連載。2022年3月時点で訪れた都内の朝ごはんスポットは284。温泉会議では温泉宿の朝ごはんを中心に綴る。
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