6部屋のみの小宿に泊まる贅沢【塩原温泉 おやど小梅や】
ひとり旅歓迎の宿が増えて嬉しい昨今ですが、部屋数の少ない小さな宿の場合は、いろいろ制限があり、気軽に泊まれないことも多いように感じます。今回紹介する塩原温泉「おやど小梅や」は、6部屋のみの小さな宿ながら、その半分の3部屋がひとり泊(女性のみ)に開かれている優しい宿。夜には地元の野菜尽くしで感動しきりの夕食が待っています。
塩原十一湯のひとつ塩釜温泉にある宿
東北新幹線「那須塩原」駅から塩原温泉行きのバスに乗り約1時間。温泉街の中心部より少し手前の「塩原塩釜」バス停で下車。
すぐそばの橋から箒川にご挨拶。塩原温泉は箒川の渓谷に沿って温泉地が続いています。
バス停のそばには珍しい「指湯」も。指を温めるだけで体までぽかぽか。
そして「指湯」の向かいにあるのが「おやど小梅や」。玄関までのアプローチには風にはらりと揺れる暖簾が掛かり、控えめながら小粋な風情を漂わせています。
モダンな中に歴史を感じる館内
玄関を入り、明るい木造りのロビーを抜けると、左手に築100年の蔵を改装した空間がありました。こちらに案内されてチェックイン。
夕食時はこちらが食事処となり、部屋食かどちらか好きな方を選べます。雰囲気が気に入ったので、私は蔵ラウンジをチョイス。
小梅やの客室は1階と2階に3部屋ずつあり、女性限定のひとり旅で利用できるのは2階の3部屋。宿名にちなんで梅の花の別称を冠していて、6部屋6様のしつらえになっています。
私が選んだのは203号室「香栄草(こうばえぐさ)」。2017年にリニューアルされた全体的にシックなインテリアの客室です。シモンズのベッド2台に、奥にはソファとダイニング炬燵をしつらえたスペースがあり、ひとりにはかなり贅沢な広さ。リニューアル前の旅館の大黒柱が柱に活かされていて、モダンな中にも和の趣と歴史を感じさせます。
元大浴場を貸し切りで
私が宿泊した時は、男湯と女湯に分かれた大浴場を夜だけ貸し切りでも入れるスタイルだったのですが、現在は常時貸し切り風呂に変更となっています。内湯のみですが、元々大浴場だったのでゆったりとした造り。
箒川のほとりで自然湧出する源泉を100%かけ流しにしています。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉。無色透明でやや熱めの湯は、湯の鮮度と成分の濃さを感じさせます。
旬の地野菜の美味しさに笑顔
蔵ラウンジでの夕食。この日はみなさん部屋食を選ばれたようで、私ひとりでこの空間を貸し切りでした。なお、蔵ラウンジの利用は1日先着3組までに限定されています。
まずは先付と前菜から。中央にあるのは、自家製グレープフルーツ味噌ソースでいただく和風バーニャカウダ。那須塩原ブランドのフルーツトマトをはじめ、24種類もの野菜とフルーツが盛り込まれていました。
塩原温泉の初夏を代表する名物「塩原高原かぶ」の煮物です。地元では「トロかぶ」とも呼ばれていて、トロッと柔らかい食感と甘みが抜群でした。
人気の「せいろ蒸し」にも10種類以上の野菜が使われています。そのまま蒸すことで野菜本来の味わいや香りが引き立って感じられます。
この日はなんとデザートにもトロかぶが!思いもよらないベジスイーツとの出会いも楽しみです。
那須塩原市大貫産のコシヒカリを塩原の美味しい水で炊き上げたごはんは、食べきれなかったのでおにぎりに。こういう心遣いも嬉しいもの。
いったい何種類の野菜をいただいたことになるのでしょう。種類豊富に盛り込み、味わいを活かす技に感動しっぱなしでした。
昼夜の寒暖差が美味しさを育む塩原温泉の野菜。今回いただいた初夏のトロかぶをはじめ、秋に旬を迎える塩原高原大根も有名です。その時々の那須塩原の恵みが活かされる小梅やの料理。訪れるたびに新たな味の発見をもたらしてくれそうです。
おやど小梅や
栃木県那須塩原市塩原316
http://www.koumeya.jp/※ひとり泊の利用は女性限定。宿泊料金や利用条件は公式サイトでご確認ください。