4月にグランドオープンした那須千本松牧場。穴場の温泉施設はモール泉の名湯

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野水綾乃

温泉と旅のライター

2024年10月にファームショップとレストランが先行リニューアルオープンし、2025年4月15日にグランドオープンした「那須千本松牧場」。那須や塩原温泉などの行き帰りに立ち寄りやすい立地にあり、私も幼いころから毎年のように訪れていた場所だ。

4月のグランドオープンで、牧場内に湧く天然温泉を利用した「温泉じゃぶじゃぶ池」などがお目見えした。当初、従業員用の温泉を掘ろうとしたら、あまりにも良い温泉が湧いたので、日帰り温泉として広く開放したのが始まり。牧場内でも少し奥にあるので、これまでも温泉があることに気づていなかった人がいるかもしれない。

そんな那須千本松牧場の温泉と、温泉じゃぶじゃぶ池をはじめとする温泉のさまざまな活用法、湯上がりに食べたい新しい牧場グルメを紹介しよう。

自然との共生がテーマ。快適な環境づくりに温泉を活かす

2025年4月15日にグランドオープンした那須千本松牧場。写真の正面に見えるのは、千本松牧場牛をはじめ千本松牧場牛乳や乳製品を使ったフードが揃うファームレストランとファームショップ。そして旧レストランと売店があった場所に、全面天然芝の憩いの空間「千本松テラス」が誕生した。

千本松テラスで象徴的なのが「温泉じゃぶじゃぶ池」。敷地内で湧く千本松温泉が注がれた、親子で楽しめる親水施設になっている。以前、売店などがあった時は気づかなかったが、那須連山の山並みを一望しながら、気軽に温泉に親しむことができる。

レストランに近い注ぎ口は熱め、次第にぬるめの入りやすい温度に。湯の色は緑がかった透明感のある茶色。モール臭がしっかり残っていて、風にのってふわっと香る。

温泉水はファームレストランとショップの床暖房や温水給湯にも使われていて、そこで活用されたものが最後、温泉じゃぶじゃぶ池に流れるしくみになっている。レストランとショップの間の「にぎわい広場」には温泉を流して暖めているベンチも。

pH9.0のつるつるしっとりモール温泉

ここからは牧場内にある日帰り温泉「千本松温泉」をご紹介しよう。ファームショップなどがあるエリアからは歩いて5～6分ほど。木々の向こうに千本松温泉が見えてくる。

男女とも内湯のほかに、開放感のある露天風呂が広がっている。

このあたりの那須野が原と呼ばれるエリアには、モール泉系の香りに個性のある温泉が多い。千本松温泉も植物由来のモール成分を含んだ温泉で、油臭が香る。湯の色はややこちらの方が緑っぽく見え、牧場の牧草を思わせる。

pHは9.0あり、床ですべりそうになるほど、つるつる感が強い。にぎやかな牧場の中心から少し離れているので、木々と野鳥の声に耳を澄ませながら入るのがなんとも心地よくてお気に入りだ。

湯上がりに楽しみたいPURE MILK FARMグルメ

那須千本松牧場では、東京ドーム176個分の広大な敷地で、自ら育てた牧草・コーンを乳牛に与え、牛の排泄物を堆肥化してまた牧草を育てる畑に戻すという循環型酪農を行っている。今回のリニューアルでは「PURE MILK FARM」をテーマに掲げ、土づくりからこだわった新鮮なミルクの美味しさをシンプルに届ける商品づくりをしている。

湯上がりに飲みたいのが、千本松牧場牛乳と千本松ミルクコーヒー。健康に育てた乳牛から搾った新鮮で良質な生乳を、低温長時間殺菌（65℃・30分）にした牛乳はすっきりしているのにコクがある。砂糖を一切使用せず、牛乳本来の甘みを活かしたミルクコーヒーも美味しくていつも飲んでしまう。

昨秋のファームショップのオープン時に登場した人気の「PURE MILKプリン」。原材料は千本松牧場の牛乳と生クリーム、砂糖、ゼラチンのみ。余計なものを一切加えずに仕立てたミルクプリンで、口に入れるとミルクのコクと香りがふわーっと広がる。

グランドオープンに合わせて、ストロベリーミルクとキャラメルミルクの新フレーバーも登場。湯上がりのデザートにいかが。

ファームショップ近くにできた「千本松オープンカフェ」は、週末限定でキッチンカーやマルシェが出店し、地域の生産者のこだわりあるフードが手軽に味わえる。

ここで見つけたのが、栃木県真岡市で無農薬のバナナ「とちおとこ」を栽培する「ラフファーム」の「千本松に恋したとちおとこスムージー」。すっきりとした味わいの千本松の低温長時間殺菌牛乳と、希少な真岡市産のバナナ「とちおとこ」だけで作ったスムージーで、味わうと驚くべき甘さ。しばらく土日に出店しているそうなので、見つけたらぜひ味わって。