細胞が喜ぶ湧き流し・蔦温泉+旅グルメ
初めて蔦温泉に出会ったのは中学生の時でした。修学旅行で東北を旅した途中で立ち寄ったのです。湯屋の扉をあけて垣間見た「静寂」に心奪われ、湯船のそこからぷくぷくと湧きあがる温泉の生命力に感動し心震えました。その「久安の湯」は今も変わらず力強く自然湧出し、青森ヒバの心地よい香りとともに旅人を迎えてくれます。
五臓六腑にしみわたる温泉

45度ほどの源泉が湯船の底からこんこんと湧いている様を、この宿では「源泉湧き流し」と呼んでいます。生きている温泉はその日その瞬間の力で湧き上がり、源泉の上に湯船を造ってためているので、熱い時は湧水を注ぎ込み、人間が入れるように調整するという仕組みです。新鮮な湯は、肌に慣れるまでピシピシと熱めに感じます。たっぷりかけ湯をしたら「えいっ!」と気合を入れて浸かります。足先じんじん、背中がビリビリ、「く~、きく~。」。目を閉じて全身に湯が染み渡る感覚を味わいます。

泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉。塩類三兄弟のハーモニーが織りなすブナの森の恵みは、しっとり+すべすべ+ぴっかぴかの肌へ導いてくれます。湯上りは、しばし放心状態。温泉パワーが体中を駆け巡り、細胞のひとつひとつがレストアされていく感じ。
湯がとめどなく流れる湯端が広いのは、青森の温泉の特徴。熱い湯が流れる板場でごろりと仰向けになって楽しむのが青森流です。コロナ禍を乗り越えたら、また、湯端のごろ寝を楽しみたいと思います。
改装を重ねてどんどん進化
旅を定点観測する愉しみ。毎年7月に「青森温泉パトロール」と称して、青森の温泉をめぐっています。「わあ、こんな風に進化してる」を楽しんだり、「変わらぬ喜び」を噛みしめたり・・・。
西館の部屋は和モダンタイプに少しずつ進化。昨年は2021年4月リニューアルの西館2階の部屋へ。すっきりした造り。

今年は、2022年4月リニューアルの西館3階の和モダンルームへ。2階の部屋と広さは同じなのですが、ベッドが窓を向いていて、手前がリビング風に仕切られたユニークな間取り。2人で泊まる時に、「わたしちょっとごろ寝する」とか、「わたしはお茶飲みながらメールする」とか、個別行動しても互いに気兼ねなくて快適。


新しい食事処で夕食です
食事処が全面リニューアルされて、窓向きのカウンターテーブルや、仕切りができてプライベート感がでました。
お造りは、十和田産青い森紅サーモン(青いのか紅いのか~)、湾内産帆立あぶりの弾力と熱さが秀逸。甘くてぷりんぷりん。


岩魚姿焼きが焼きたて熱々で美味。串ごと、はふはふとかじれば、じわっと旨みがあふれるふわふわの身。もうひとつの串焼きはアピオスという青森特産のお芋。調べてみたら、じゃがいもと比べて、カルシウムが30倍、鉄分が4倍、繊維が5倍、タンパク質が6倍、エネルギーが2.5倍、ビタミンEも含有だそうで、小さいながらも「すごい奴」。しゃきっとした食感がちょっと長芋っぽく、口どけがほくほくなところはじゃがいもっぽい。
小川原湖牛の焼きしゃぶ。青森県六ケ所村のブランド牛です。さっと焼いたら青森県名産の長芋とろろとポン酢で味わう初めての美味しさ。県産ごぼうがマリアージュすると、これまた絶品。

田酒とか豊盃とか青森はオイシイ日本酒がずらりと揃っているので幸せです。

もうひとつの温泉「泉響の湯」も足元から元気よく湯が湧きあがっておりました。いい湯に入ると、とにかく眠い。夜はぐっすり爆睡。
奥入瀬渓流散歩

いつもなら、朝散歩は蔦沼なのですが、出発時間にはまだ雨が降っていたので、奥入瀬渓流へドライブ。雨上がりのミストいっぱいの奥入瀬渓流は浄化されるような心地よさ。



オマケ・旅グルメ情報

蔦温泉から下風呂温泉へ向かう途中に、行ってみたかった「帆立」のお店へ。浅虫温泉の湯ノ島を間近に眺めて海岸線の道をてくてくと歩き・・・。行列の向こうにお目当ての「もりや商店」が・・・!!



ウニとかイカとかイクラとかにも心奪われそうになるのですが、目の前の「むつ湾」では、なんといっても「帆立」です。もりや商店には店の前に帆立の生け簀があって、活き帆立をさばいて料理します。

「ひゃっ、ひゃっ、ひゃー」おもわず、顔がほころぶ「ホタテ三昧」。肉厚のお刺身がすごい、絶妙の半生火入れの貝焼きが美味しすぎる、ぷりっとふっくらホタテフライが幸せ・・・と、無限ループです。