温泉地のキャパシティを決めるのは温泉の湧出量、という考え方 – 温泉会議
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『現代湯治』を複数のメンバーが語り合うように記事を執筆します。温泉でストレスを放電、心をふわりと軽く。ひとりでもふらりと行ける温泉宿の毎日をのぞいてみませんか。

温泉地のキャパシティを決めるのは温泉の湧出量、という考え方

若旦那

「え?立ち寄り湯も予約制なんですか?」

栃尾又温泉へのお問合せでとても多いお声です。

「いやいや、立ち寄り湯が予約制とか聞いたことない」と、いう方も多い事でしょう。正直なところ、予約制にしない方が管理も楽です、お風呂に入れるだけお客様をお通しすれば温泉地としても収益となります。経営の面から考えれば、制限などせずに、どんどん日帰り営業をした方がいいのです。ありがたいことに昼間の立ち寄り湯のお声をたくさんいただきます。本当にありがたいことです。

では、なぜそれをしないのか。

一つ、浴槽が混んでいたらゆっくりできないから。

二つ、客数が温泉供給量を超えた場合、温泉鮮度を維持できないから。

以上の二点です。

その温泉地のキャパシティは、建物の収容人数や対応できるスタッフ数で決まるのではないというのが私たちの持論です。温泉の湧出量こそが、その温泉地の適切な利用者数を決めると私たちは考えています。

栃尾又温泉は3軒の宿が連なっており、どのお宿のお客様も2泊以上~1週間、あるいはそれ以上の連泊滞在が基本です。したがって、一般的な宿泊施設のように、アイドルタイム(お客様不在のお時間)がほとんどありません。そして、その皆様が日中もゆっくりと湯治をされているのです。

そこに無制限に、立ち寄りのお湯を提供してしまうとどうなるか・・・お察しいただけるかと思います。

また、1人のお客様に対する配湯量という視点もあります。温泉の湧出量は毎分あたり、おおよそ決まっています。したがって、人数が増えれば増える程、1人あたりに回る温泉量は減っていきます。

いくら体を洗ってから入浴したとしても、身体から出る皮脂や汗でお湯は汚れます。源泉掛流しの場合、お風呂に配当される量=あふれる量です。自然にお風呂から流れ出る量を超えて、皮脂や汗が浴槽内に溜まってしまうと浴槽の鮮度、品質はどんどん低下します。温泉は生き物です。温泉だって、キャパがあるのです。

これを補うために消毒循環するお風呂があるわけですが、源泉掛流しの温泉でそれをする意義はありません。誤解のないよう敢えて申しますが、循環加温方式が悪いということではなく、求めるものが違うのです。自然のものを自然のまま、なるべく良い状態で利用するためには、やはり適度な範囲というものを知る必要があります。

それらを総合的に加味して、日々の立ち寄り湯としてお受け可能な人数を決めています。なので、営業していない日もたくさんあります。これを不便と捉えるか、こだわりと捉えるか・・・・そこは人それぞれかと思います。

日帰り温泉、立ち寄り湯の在り方にも、その地の湯守の思想が現れると思います。そんなことに想いを馳せながら温泉巡りをしてみると、また少し違った景色になるのでは、と思っています。

星宗兵
若旦那
400年続く湯治宿(新潟県・栃尾又温泉 自在館)の若旦那、趣味は野球・スキー、ゴリゴリの体育会系、暇があれば山遊び。温泉が湧き続ける限りこの里山を守りたい。
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