岩木山のふもとに湧く百沢温泉

岩木山のふもとに位置する百沢温泉は、青森県弘前市の中心街から車で３０分ほど郊外に走ったあたりに湧く温泉。１０軒ほどの旅館、民宿といった温泉施設があり、今でも湯治場的風情を残す小さな温泉地です。 そんな百沢温泉の湯元ともいえる日帰り温泉施設「株式会社 百沢温泉」には珍しい湯口さんがいらっしゃいます。

素朴でシンプルな温泉施設

茶色いレトロタイル張りの建物の百沢温泉外観。素朴でシンプルなその風情は、地方の老舗企業みたいな雰囲気です。

実際「株式会社 百沢温泉」という会社形態なので、その通りといえばその通りですね。

館内も外観同様、素朴な雰囲気で広々としています。昭和の香りがプンプンしていますが、手入れの行き届き清潔に保たれていて、アンティークのような年季の入り方。そのおかげで気持ちよく利用することができます。

そんな老舗感ただよう百沢温泉の開湯は１９５７年。この雰囲気にしては意外と新しい印象です。伝統のある温泉が点在する青森県の中では、割と歴史の浅い温泉なのですね。

湯船の大きさに見合わないドバドバ湯量

大浴場は男女別の内湯のみ。大浴槽のほか、小浴槽や打たせ湯などがあります。

どの湯船にもうぐいす色の濁り湯が注がれ、一番大きい湯船からはザーザーとお湯があふれる気持ちのいいドバドバ湯量です。青森名物の「トド寝」もできちゃいます。

泉質は、ナトリウム・マグネシウム・カルシウム－塩化物・炭酸水素塩泉。加水も加温も循環もしない「完全かけ流し」のお湯は抜群の鮮度を誇ります。

脱衣所から浴室に足を踏み入れた瞬間に感じるフレッシュな「金気臭」が最高のアロマテラピー。口に含んでみると、甘鉄塩ダシ微炭酸のフルーティーな味わいです。レモンをたっぷり絞ったハイボールのような飲み口はクセになりそう。美味しい。

実は青森名物な「湯口」さん

さて、そんなドバドバ湯量を担当している湯口さん。

L字型の極太塩ビ管から伸びる先端部分は、まるで「掃除機のノズル」のような形がかっこいいです。掃除機であればごみやほこりを吸い込むものですが、こちらは源泉を噴射。水平に広がる源泉の放物線が爽快です。まるで滝を眺めるような豪快な景色。絶景ですね。

目立たないですが、湯口さんを支える土台部分には、しっかりと析出物のアニキが育ち、コッテリ鍾乳洞の鏡もちみたいな姿が芸術的です。

ちなみにこのタイプの湯口は、山口工業所という会社が制作しているそうで、「山口式湯口」と呼ばれているのだとか。青森県内にはこの「山口式湯口」がいくつかあるそうです。湯口さんにもいろんな派閥があるのですね。

またご挨拶に伺いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

温泉情報

【株式会社 百沢温泉】
住所：弘前市百沢字寺沢290-9
電話：0172-83-2226
URL：http://www.iwakisan.com/hot-spring/category/hyakuzawa/

泉質：ナトリウム・マグネシウム・カルシウム－塩化物・炭酸水素塩泉（低張性 中性 高温泉）
源泉温度：45.3℃
pH：6.27
湧出量：454ℓ/分（動力）
加水：なし
加温：なし
加温：なし
消毒：なし
利用状況：かけ流し

※訪問時の情報です（２０１６年８月）

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