やっぱり鶴の湯、最高でした。 – 温泉会議
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北の湯から南の湯から。日本全国の温泉を繋ぐ「湯戸端会議室」。温泉に浸って地元のレアな話が聞きたくなったら、この場所へお立ち寄りください。

やっぱり鶴の湯、最高でした。

クリエイティブ・ディレクター、編集者

重要秘湯的文化保存振興地域?

ちょっと前、3月9日のことになりますが。。久しぶりに冬の乳頭温泉へ行ってきました。

今回の宿は「鶴の湯温泉別館 山の宿」。1人旅も受け付けてくれる「山の宿」に2泊してきました。この山の宿は名前のとおり、鶴の湯の「別館」。本館の鶴の湯へは常に送迎バスが走っていて、いつでもあのお風呂に入りに行くことができます。

さらに山の宿には4つの貸切風呂。鶴の湯の風情も最高ですが、山の宿に泊まって貸切風呂を楽しみつつ(しかも1人で貸切!)、朝晩、鶴の湯に入りに行くというスタイルもなかなか楽しいものでした。

それはさておき。鶴の湯に行って思ったのは「鶴の湯はあいかわらず凄い」!! このタイムスリップした感、10年前、20年前よりはるかに進んでます。というか、時間が経っただけに、タイムスリップ感が増しているというか。この雰囲気は「重要秘湯的文化保存振興地域」とかに指定したほうがいい気がします(そんなのないけれど)。

まるで江戸時代からこの風景が続いているような世界観。もちろんそんなわけはなく、この風情が作られたのは近代なわけですが、だからこそ「文化」を感じるのです。文化は創るもの。そしてその時代に多くの人が支持した文化こそが後世に伝えられ、本当の歴史的文化に変わっていく。鶴の湯からはまさにそんな秘湯的温泉文化の発祥を感じるのです。

そもそも「秘湯」という言葉自体が故岩木一二三氏の造語なわけですし、昭和の時代に始まった重要な温泉文化なのではないかと。そしてこの温泉文化は後世に受け継ぐべきものだと思うのです。

時代は令和。昭和の文化を残すことは、すでに容易ではありません。

ということもあって、「文化保存振興地域」。ぼくは「振興」という言葉がけっこう好きです。保存する、守るだけでは、営業を継続することはできません。時代にあわせて振興活動をしていくことが重要だと思うのです。その点、鶴の湯はバランスがとれているなぁと。ネットも携帯も繋がるけれど、周辺には電線が見えず。昔ながらの雰囲気ではあるけれど冬でも寒くなく。

いずれにしても最高でした。また来年の冬も行こうと心に決めたのでした。

鶴の湯の内湯。石鹸しか置いていないのが潔い。
やっぱり日帰り客がいない夜の風情が最高。

あたかも江戸時代から続くようなこの風景。
宿泊したのは車で3分程度の「別館山の宿」。
貸切で利用できる「山の宿」の露天風呂。ひとりじめ。
貸切で利用できる「山の宿」の内湯。
山の宿の夜。
山の宿の夕食。
素朴だけど美味しいですよね。鶴の湯の夕食。
1泊目は名物の山の芋鍋、2日目はきりたんぽ。
稲庭うどん。
ちなみに本当の目的はこちら。山に登ること。秋田駒ケ岳。
山頂からひと滑り。
岩佐十良
クリエイティブ・ディレクター、編集者
1967年、東京生まれ。大学在学中に会社を創業し、のちに編集者に転身。2000年、雑誌「自遊人」を創刊。2014年、新潟大沢山温泉に開業した『里山十帖』では、総合ディレクションを担当し「グッドデザイン賞BEST100」を受賞。2016年〜18年と2021年より、グッドデザイン賞審査委員に着任。2017年、『Forbes JAPAN』の「地方を変えるキーマン55人」に選出される。多摩美術大学客員教授。
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