奥鬼怒「加仁湯」は露天風呂天国!5本の源泉が織り成すにごり湯を
奥鬼怒温泉郷の加仁湯にこの夏訪れた。雪見風呂が名物なところがあって、取材では冬に行くことが多かったから、真夏に行くのは今回が初めてだ。暑さを忘れさせる涼しさと、一晩では入りつくせないほどのにごり湯の露天風呂の数々が帰りたくなくさせた。
夏も涼しい関東最後の秘境にそびえる一軒宿
加仁湯があるのは「関東最後の秘境」と呼ばれる日光市の山奥の奥鬼怒温泉郷。路線バスの終点である女夫渕から宿の送迎バスに乗り換え、一般車通行不可の奥鬼怒スーパー林道を20分ほど進んだ先に、大きな和風旅館がドーンと現れる。
標高は1350メートル。私の暮らす県南と比べると、同じ栃木とは思えないほど涼しい。30℃を超えることはほとんどないし、宿にはクーラーさえないという。夏の避暑のイメージってあんまりなかったけど、これはアピールしていかなくちゃだ。
開放感あり過ぎる!加仁湯の6つの露天風呂めぐり
加仁湯では、鬼怒川源流の渓谷に沿って点在する6か所(湯船の数にするともっと!)の露天風呂に一晩中浸かることができる。
まずは加仁湯の顔でもある混浴の「第三露天風呂」。混浴とは言えども、広いし、濁り湯で体は見えないし、男女別の脱衣所から入っていけるし、バスタオル巻きがOKだしで、女性も入りやすい名物露天。一部が柱状節理になった対岸の岩山を仰ぎ見る。
加仁湯の露天風呂は混浴が多いが、唯一終日女性専用で入れるのがこの「第一露天風呂」。露天風呂エリアのいちばん奥にあり、落ち着いていた雰囲気が漂う。
湯船が真ん中で仕切られていて、右側がぬるめになっていてずっと入っていれらる。投入する源泉の種類や量によって温度調節をしていて、よく見ると湯の色も少し違っている。
所有する源泉5本の泉質の多くは、含硫黄ーナトリム-塩化物・炭酸水素塩泉。pH6以上の中性で、「とちぎ にごり湯の会」の加盟宿の中でいちばん肌に優しい泉質だという。たしかに肌に刺激がなく、つるりとした感触が包む。
5本の源泉を味わう「利き湯」、1~2人用の小さな絶景露天も
加仁湯にはまだまだユニークな露天風呂が…。
自家源泉を5本所有し、大きな露天風呂にはそれらを組み合わせて使っているが、その源泉をそれぞれ単体で味わえるようにしたのが混浴の「利き湯 ロマンの湯」。
小さく5つに仕切られた湯船に、5本の源泉が混ざらずに1つずつ注がれている。硫黄分を含まない透明な「たけの湯」や、温度が高くてなかなか入れない源泉もある。そんな湯の個性が味わえるだけでなく、これらを組みあわせて湯をつくる湯守の苦労も感じた。
もうひとつの混浴露天風呂「第二露天風呂」そばにある、「かもしかの湯」も開放感がすさまじい。ひとりかふたりでいっぱいの、石をくりぬいた壺風呂で、どの風呂よりも渓流に近く、岩肌には小さな滝も流れる。
そのほかにも、当日の予約で無料で入れる貸し切り露天風呂、混浴の第二露天風呂、夏季限定で子どもたちに大人気の広い温泉プールなどもある。
手入れの行き届く客室と山の味
客室は本館、積善館、木造のあすなろ館があり、全部で52室。写真は宿泊した積善館の和室。手を入れるべきところはきちんと手が入れられていて、とてもきれいな印象だ。
部屋にエアコンはなく、窓を開けていれば川側から心地よい風が入ってくる。少し暑いときだけ扇風機があるのでつけた。
食事処で味わう夕食は、きのこや山菜が豊富な山の秘湯らしい内容だ。このあと、いつも登場する山菜グラタンができたてのアツアツで運ばれてきた。
前回記事(https://onsenmeeting.com/archives/6110)で紹介した電動マウンテンバイクでのサイクリングや、標高2040メートルの天空にある湿原「鬼怒沼」へのハイキングを楽しむのもおすすめ。送迎バスを使わずに、女夫渕4.5キロメートルの遊歩道を歩いてめざすだけでも新緑や紅葉の時期は楽しい。
加仁湯
http://www.naf.co.jp/kaniyu/