素朴なレトロぼくちゃん湯口【瀬波温泉 大和屋旅館】

和顔で坊主な少年が水がめを抱え、湯船に源泉を注いでくれる湯口スタイル。どことなく昭和の郷愁を感じる雰囲気は、昔の白黒映画に出てきそうなお行儀のよい少年の風情ですね。ほっこりします。
瀬波温泉の開湯のきっかけとなった歴史的な旅館
新潟県村上市に湧く瀬波温泉。海沿いに10数軒の旅館やホテルが並び、日本海に沈む夕日が綺麗なロケーションです。開湯は120年近く前の1904年。石油掘削中に温泉が湧き出たという温泉で、源泉井戸は90℃を超える源泉がジュージュー湯けむりを立てながら噴きだしています。そのため、温泉街ごとアブラと硫黄の香りに包まれる、天然のアロマテラピー空間です。

そんな温泉街の高台に、素敵な湯口さんのいらっしゃる「大和屋旅館」が建っています。なんと、瀬波温泉はこちらの宿の初代のご主人が、石油掘削中に掘り当てたもの。開湯とともに残る、歴史的なお宿でもあります。

山菜の「コシアブラの天ぷら」が絶品だった
海も山もあり、しかも米どころの新潟県にある旅館。ごはんも楽しみにしていました。
この日の夕食は、名物の塩引き鮭、ヒラマサやエビなどのお刺身、村上牛のステーキ、メガニのみそ汁、地元産のコシヒカリなどなど。それを一品一品作っては出してくれるスタイルで、出来たての温かい料理を味わえます。中でも、初めて食べた「コシアブラの天ぷら」は、美味しすぎて、このために再訪したいと思えるほど衝撃でした。




コク香る塩化物泉をかけ流し
瀬波温泉の元祖といえる大和屋旅館。お風呂は男女別の内湯があります。それぞれ7、8人は入れそうな大きさの湯船で、長年の源泉の染みこみで色づいたタイルが素敵な空間です。

泉質は、ナトリウム-塩化物泉。源泉は湯温90℃を超えるため、加水こそしていますが、消毒・循環なしのかけ流しです。少し濁りの混じったお湯は、アブラと硫黄のブレンドされた濃厚で重たい香り。一気に吸い込むと、ちょっと気を失いそうになるくらいのインパクトでクセになりそうです。味はうま塩ダシ味にアブラと硫黄の風味を追加。不思議と、ブルーチーズのようなコクと苦みが生まれ、これまたクセになりそう。これでご飯を炊いたり、ラーメン作ったりしたら、絶対美味しいと思います。ツルツルスベスベヌルヌルで、キュッキュする肌触りも、成分の濃厚さを感じさせてくれます。

素朴なレトロ少年の湯口さん
そんな歴史的な源泉を湯船に注いでくれるのは、昭和レトロな少年湯口さん。和顔で坊主な姿で水がめを抱え、楽しそうに湯口の仕事をしています。なんだか昔の白黒映画に出てくる小学生みたいですね。そうそう、小津安二郎の映画に登場するお行儀の良い、わんぱくな子供って感じ。微笑ましい。

ぼくちゃん湯口が可愛くって可愛くって、湯浴みしながら頭を撫でたら、源泉が染みこんで色が濃くなりました。その色合いもオシャレだね。なにげに二重まぶたでパッチリお目目。20年後の成長した姿はきっとイケメンなお兄さんなのでしょう。こびりついた析出物も素敵です。


温泉情報
【瀬波温泉 開湯の宿 大和屋旅館】
住所:新潟県村上市瀬波温泉2-5-28
電話:0254-53-2175
URL:https://www.mu-cci.or.jp/co/yamatoya/
泉質:ナトリウム-塩化物泉(低張性 アルカリ性 高温泉)
源泉温度:90.1℃
pH:8.5
湧出量:?ℓ/分(動力)
加水:あり
加温:なし
消毒:なし
利用状況:かけ流し
※訪問時の情報です(2022年5月)
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