雪国の教え 「無理して頑張ってはいけない」
豪雪地帯魚沼で湯治宿を営む者として、避けられない仕事があります。
そう、除雪です。(排雪も)
除雪、排雪、雪掻き、雪降ろし、これらをひとくくりに、地元の人は「雪ごったく」と言います。新潟や長野地方の方言らしいのですが、ごったく=ごちゃ混ぜ、的な意味合いで使います。つまり、雪に関わるあれこれ、ってことですね。
この雪ごったくには、とても大事な、守るべき教訓があります。
それは・・・・・
「無理して、頑張ってはいけない」
と、いうこと。理由は簡単です。
無理=死、に直結するからです。
冬の雪ごったくの現場は、危険な場所・作業が非常に多いです。例えば、屋根の上や、雪を捨てる川、または除雪車などを使用すること、これらすべて一歩間違えば、即、死に繋がります。
私も、過去何度かヒヤッとする場面がありました。
例えば、屋根の雪降ろし中、少し疲れがたまってきてはいるものの、あともう少しだからと、作業が雑になってしまい、危うく屋根から落ちそうになったり。
道具の整備をおろそかにして、スノーダンプから雪が離れず、雪とスノーダンプと一緒に谷底へ落ちそうになったり。
我ながら、結構、危ない、生きててよかった・・・・泣
時に、頑張ることは大切ですけども、雪ごったくの場合は、無理して頑張った結果、疲労などで冷静な判断を欠いたり、身体が反応しなかったりすることは、大きな事故につながるのです。
スポット的に無理したり、頑張らなければいけない状況を作るよりも、事前に、計画的に、そうならないように、頭と心を準備しておく。
これが大切だと思います。年を取って、特に、そう感じる様になりました。若いころは、体力に任せて、多少の無理も効いたものですが、体力の衰えと共に、危険も大きくなっていきます。
これは雪ごったくだけにとどまらず、普段の生活でも同じことが言えるのかなと思います。
若いころに頑張ることは、とても大切、自分の能力を広げ、可能性を模索する時期。そして、ある程度の成熟期を迎えたならば、自分自身の能力を俯瞰し、バランスを見ながら生活をするステージになる。
自分自身もそうですが、このバランスを考えないと、結局体に無理が来てしまう。身体の無理が心の無理になり、それが周りにもひろがってゆく、近ければ家族、職場の仲間、友人、と広がってしまう。
雪ごったくもそうなんですが、やってる本人は、まだ大丈夫、まだ疲れていない、今まではこうだった・・・・と、なかなか自分の体力や、衰えなどの現状を正しく判断できないことが多い。
その結果、事故などに繋がってしまう。
普段の生活も同じ、今までは大丈夫だったんだから、と思っているのは自分だけ、変化は必ずしているものです。無理せず、計画的に、周囲への心配りも忘れずに、これが大切。
そんなことを屋根の上で思ったので、忘れないうちに温泉会議へ記し、また雪ごったくに戻る今日この頃。