宿と多様性
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昨今は「多様性」「diversity」をよく耳にします。コロナウィルスの流行もあり、新しい生活様式や、多種多様な在り方、を大切にしようという風潮が日本でも更に強くなった気がしています。
メディアでよく聞くのが「多様性の時代に~」という導入文句。
20年前くらい、大学の授業でも「diversity managemento」なんて授業がありました。内容は一切がっさい忘れましたけど。
観光業界でも、「多様性の時代だから、様々なニーズに対応できるよう変わっていかなければなりません。」ということをよく言っている。・・・気がします。(思い込み)
多様性の捉え方にも多様性があってよい、という、どうどう巡りなるのですが、私的には
「多様性を一軒の宿で表現しようとすると、すごくしんどい」
未来が待っていそうだ。と思っています。
もちろん、大企業や大きな組織は、その企業内で、たくさんの可能性を模索できた方がいいでしょうし、より魅力的な商品やサービスが開発される可能性も高まりそうです。
が、私たちのような小さな宿は、「たくさんの考え方があり、考え方が違うことは尊重する」という基本的なスタンスは保ちながらも、「そのうえで、ウチはこういう方針なんです」という、ある程度のエッジを聞かせていかなければ、お互いに疲弊してしまう可能性が高い。
一つの宿や企業で多様性を実現するのではなく、地域や、宿間の連携、を含めて、いろんな宿がある。その中で選択できる環境が増えていく。というのが、私的多様性の考え方です。
「多様性の時代だから、あれもこれもやらなきゃ、あわわ、大変」と、尻込みする必要もないし、慌てる必要もない、もし自分の宿にないことを求めているお客様がいらっしゃれば、自分の知っている限りでお勧めのお宿をご紹介すればよい。
例えば、私達の宿では、ゆっくり湯治していただくために、4名様以上のお客様には、必ずお電話にて宿のコンセプトと文化について幹事の方へお伝えし、他の方の了承も得て頂きます。
もし、その中で、「今回の旅はみんなで楽しく宴会をしたいんだ」というお客様のニーズがあれば、近くでもっとお客様のニーズにマッチするお宿をご案内をしています。
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個として、点として、対応できなくても、地域などのコミュニティのなかで面として対応できればいい。そういうゆるい考え方です。
個人で考えても、多様性を一人で完結するのは、しんどい。完璧超人なんていませんし、そりゃ疲れます。
一応、念のため、決して「排他的でいいよ」、ということではありませんし、かたくなに自分の殻の中だけで生きれば良い、ということでもありません。この議論では、必ず、「それは排他的だ!」と捉えられてしまうケースがありますが、そういうことではないのです。
違いを尊重しながら、紹介したり、シェアしたり、そうやって個々の魅力や、自分らしさを、さらに楽しめればよいと考えます。
多様性って、難しいですね。笑