あっさり塩顔なレトロライオンさん湯口【湯河原温泉神谷キャンプ場】

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小松歩

ユグチスト/温泉ライター

つるんとすっきりした純和風な顔立ちのライオンさん。
若いころはきっと、ゴツゴツとがっていたのかな。積み重ねてきた多くの苦悩と苦労で、丸くなったようです。さまざまな経験を湯口人生の深みに変えてきたような、やさしい魅力がただよいますね。

湯河原温泉の山の上に湧く「湯元」のキャンプ場併設温泉

神奈川県の湯河原温泉は、都内から１時間ちょっとで行ける身近な温泉地。長い歴史がある温泉街は、文豪に愛された老舗旅館から、民宿、ホテルまで様々な宿が並んでいます。
今回ご紹介する湯口さんのいらっしゃる「神谷キャンプ場」は、温泉街を抜けて、細い山道を登った先に高台にあります。こちらは名前の通りのキャンプ場。そこに温泉施設が併設されています。
こちらは、神谷温泉として温泉の宅配や旅館への源泉供給している「湯元」。その個人用のお風呂を一般にも開放したのだそうです。ちなみに、キャンプ場のオープンは２０２０年と浴場オープンの後ですので、正しくは「温泉併設のキャンプ場」ですね。

ピンクのタイルが可愛いレトロなお風呂

お風呂は内湯がひとつのみで、時間制の貸切で利用できます。
元々は、オーナーのおじいさんの別荘だったお風呂だそうで、見るからにレトロな雰囲気です。ピンクのタイルが可愛く、木枠の窓、木桶も風情があります。この時期は窓を開けると、山の緑も感じられて、気持ちのいい湯浴みを楽しむことができます。

泉質は、ナトリウム・カルシウム－塩化物・硫酸塩泉。
湯元かつ、小さめな湯船なので鮮度も抜群でした。ほのかな鉱物臭の中には、生まれたての赤ちゃんのようなフレッシュな甘い香りが含まれ、お吸い物のように上品な薄塩ダシ味の繊細な味わいです。ツルキシのミネラルたっぷりな肌触りが心地よく、プチプチと細かい泡付きも感じられてもん絶しそうでした。
ここだけ昭和のまま時間が止まったかのような空間。じっくりお湯につかっていると、レトロワールドにトリップしてしまいそうです。

おだやかでやさしい雰囲気につつまれるライオン湯口さん

そんなレトロな浴室を担当する湯口さんは、レトロ度トップオブトップのライオンさん。つるんと、あっさりすっきりした塩顔です。
きっと昔はゴツゴツととがっていたのでしょう。何十年という過酷な湯口業務の中で、だんだんとおだやかに丸くなられたのでしょうか。苦悩や苦労、悲しみがたくさんあったのだと思いますが、そのすべてを人生（湯口）の糧として蓄え、深みとして昇華されたのですね。

年を重ねて、やさぐれてしまう人も多い世の中で、あなたは理想の上司のような、ついていきたくなる魅力にあふれています。自分がされて嫌なことは部下には絶対にしない。部下のためにあえてきつく言う時はきつく指導する。悩んでいる時、苦しい時に「おい、大丈夫か？無理するなよ！」とやさしく頼もしく声をかけてくれそうです。
そんな理想の上司のような存在の湯口さん。いつまでも私たちの目標でいてください。