温泉分析書を見れば、色、香り、肌触りがわかる!
温泉分析書を見ただけで温泉に入った気分になれる!
私は、温泉分析書を見ると、その温泉に入ったことがなくても、
色、香り、肌触りをイメージすることができます。
ですから、鉄道愛好家が時刻表を見て旅をした気分になれるのと同じように、温泉分析書を見ただけで、その温泉に入った気分になれるのです。そんな、温泉分析書から読み解く、温泉の色、香り、肌触りについてお話しします。
温泉分析書を見て、色と香りと効果を想像してみてくださいね。
エメラルドグリーンの温泉
硫黄泉の中に、入浴剤を入れたかのような鮮やかなエメラルドグリーンのものがあります。
硫黄泉には、硫黄が2mg/kg以上含まれると硫黄泉なのですが、
硫黄のうち「硫化水素イオン」という成分が2ケタ以上(10mg/kg以上)あって、かつ塩化物泉の場合にエメラルドグリーンになる傾向があります。
香りは硫化水素臭です。
硫黄型の硫黄泉は典型的な「美人の湯」であり、高血糖を改善するとされているので、エメラルドグリーンの温泉を見たら、美しくなれ、糖尿病を予防すると考えてください。
乳白色の温泉
硫黄泉の中で、「遊離硫化水素」というガス性の硫黄が主体だと
乳白色になります。数mgでも色がつくことがありますが、2ケタ以上(10mg/kg以上)あると、きれいな乳白色になります。
もちろん香りは硫化水素臭です。
遊離硫化水素が主成分の硫黄泉は「硫黄型」と呼ばれ、高血糖を改善する効果に加え、高血圧、動脈硬化症を改善する効果があるとされます。
そう!乳白色になる温泉はメタボに見られる症状の改善になるのです!
茶褐色の温泉
含鉄泉でなくても、鉄が含まれていれば、塩化ナトリウムの影響で、茶褐色の「にごり湯」になります。
温泉分析書の「陽イオン」の「鉄」に書かれている二価鉄と三価鉄の数字を足して「20mg/kg」以上でしたら「含鉄泉」です。含鉄泉だと茶褐色になりますが、そこまで鉄が含まれていなくても
「にごり湯」になることがあります。
鉄は含有量が多くなるにつれて「黄緑」「黄色」「茶褐色」と色が濃くなっていきます。黄緑、黄色なら、含鉄泉には達していないけど鉄が含まれているということがわかります。この黄緑は、鮮やかなエメラルドグリーンの硫黄泉とは違った、濁った感じの薄黄緑色です。
更に、「塩化物泉」だと色のつきがよくなります。特に「塩化物強塩泉」という濃い塩化物泉だと、鉄が2mg/kg以下でも茶褐色になります。鉄を塩水につけると錆色になるのと同じ原理ですね。
つまり、茶褐色の温泉は鉄と塩の成分が多いのです。
ほとんどの含鉄泉は塩化物泉でもあります。
鉄は、月経障害、更年期、飲用では貧血に効果的とされ、塩の成分は保湿・保温効果があり、冷え性に効果的です。そう!鉄と塩を含んだ温泉は、女性に見られがちな症状に効果が期待できるんです。
温泉分析書を見て、鉄が入っている塩化物泉を見たら、
茶褐色のにごり湯で、いわゆる金気臭という鉄の香りがします。
そして、入浴後も体がポカポカと温かく湯冷めしない温泉です。
温泉分析書と実際の温泉が違う場合
実際にお風呂に入ってみると、温泉が温泉分析書の内容と違う場合があります。それは、主に「加水」「加温」「循環」「消毒」によるものです。
実はこの4つは、行っている場合は理由とともに掲示しなければならないことになっています。
私は源泉かけ流しの温泉が大好きですが、源泉かけ流し至上主義ではありません。大きな露天風呂、露天風呂付客室など、お客様の要望に応えようとすると、温泉そのものを少し犠牲にすることもありますが、これは施設、設備への要望に応えたことになります。
ですから、いずれも否定しませんが、それぞれ温泉に影響を与えることは間違いありません。
「加水」すれば、温泉が薄まります。
「加温」すれば、ガス性の成分は失われます。
「循環」すれば、ガス性の成分が失われるとともに、酸化が進みます。
「消毒」すれば、酸化が進むとともに、消毒剤の独特の臭いがします。
特に、「加水」と「加温」を同時にやっていれば、かなりの加水率です。熱いのなら加水だけでいいのですが、加水もして加温をするということは、適温より温度が下がるくらいに水を入れているということになり、お風呂の中の温泉は、温泉分析書の内容よりかなり薄まっています。
ですから、温泉分析書を見て、どんな温泉か判断する際は、
「加水」「加温」「循環」「消毒」の有無もチェックして参考にしましょう。
◆次回は、温泉分析書から読み解く「隠れ美人の湯」についてお話しします。