【湯河原温泉/富士屋旅館】有形文化財の建物と鰻の土鍋ごはんに魅了されるご褒美宿 – 温泉会議
温泉ばっかりのひとり旅。休日は心地よい温泉と旅グルメで静養している温泉愛好家「ファンファン」の温泉旅行記。

【湯河原温泉/富士屋旅館】有形文化財の建物と鰻の土鍋ごはんに魅了されるご褒美宿

潔癖症の温泉愛好家♨

東京駅から特急踊り子でわずか75分、私はふらっと行くことが出来る湯河原温泉が大好きです。歳を重ねるごとに、長距離移動が大変だと感じるようになっていますから、近場で非日常を味わえる場所は重宝します。
湯河原温泉には、箱根のような賑わいのある商店街や観光スポットは少ないものの、そのぶん静かに滞在を楽しむことができ、特にお気に入りの宿や行きつけの宿を目的として訪れている方が多い印象です。私もその中の一人で、今回で二度目となる宿、富士屋旅館に宿泊することを目的として訪れました。

私のご褒美宿「富士屋旅館」
チェックインは新館にて

① 心奪われる有形文化財の旧館

古くから多くの文豪や画家に愛されてきた湯河原温泉は、万葉集にも詠まれた温泉地であり、その歴史は古く開湯1300年にもなるとのこと。その歴史に相応しい立派な佇まいは、旧館、洛味荘、新館の三つの建物からなり、そのうち旧館は有形文化財へ登録された貴重な建物です。今回はその旧館の一階、中庭が見渡せる角部屋に宿泊しました。

登録有形文化財の旧館
廊下を歩いたときに伝わる振動が心地良い
奥行きのある広いお部屋に驚く
中庭が特に綺麗に見渡せる角部屋

一人で広いお部屋や二間続きの客室に居ると、落ち着かないと感じることはありませんか?それは、広すぎて持て余してしまったり、定位置を見付けられなかったり、寒々しく感じてしまうからでしょうか。
ですが、こちらのお部屋は贅沢なのにどこか懐かしく、迷うことなく広縁の椅子に腰掛け、ついウトウトしてしまうようなぬくもりあるものでした。

広縁からはしっとりとした緑が溢れる

なお、洗面、脱衣所、お手洗いはスタイリッシュな新しいものにリフォームされています。

スタイリッシュかつ使い勝手のよい洗面台
温泉好きに嬉しいたくさんのタオル

古いものは使い勝手に困ることが多く、特に水回りで敬遠されることがあります。ですが、こちらは欄間などの今では職人すら少ない貴重なものや、模様の入った窓ガラスなどを残しつつ、水回りなどの日常使いの部分は新しいものにリフォームすることで、ストレス無く過ごせる空間を実現しています。

② 隠れ家のような客室風呂と、時が経つのを忘れる大浴場

旧館と洛味館の各お部屋には、温泉が引かれた檜の内風呂が設けられています。チェックイン時にはすでに温泉がなみなみと張られており、湯が注がれる音はまるで「早く浸かりに来てね」と呼んでくれているようでした。

一人サイズの浴槽に浸かるとザバーっと温泉が溢れる
蛇口には温泉の成分がもこもこ

こちらの泉質はナトリウムー塩化物・硫酸塩泉、かつ温度が高めですから、入浴中はブワッと汗が吹き出します。そして、入浴後の保湿効果が高く肌がしっとりします。

さて、旧館を出て渡り廊下で繋がる新館には、男女別の大浴場があります。

浴槽が大きいぶん少し温めで入りやすい大浴場

窓が少なく景色を楽しむことはできませんが、天井が高く閉塞感はありません。むしろ、開放的に感じるほど。また、各お部屋に内風呂が設けられているからか、大浴場で他のお客様と一緒になることは少なく、独り占めできることでより一層開放的に感じられました。
少し暗めの照明はシンプルな浴室全体の印象を柔らかくし、起きているときと眠っているときの間のような気分に。そして、湯に浸かりながら天井に架け渡された梁を見上げていると、時が経つのを忘れてしまいます。

③ 宿泊の目的のひとつ「鰻の土鍋ごはん」

食事は旅館に併設されたレストラン瓢六亭にて。
食べることが最大の楽しみと言っても過言ではないほど、食べることが大好きな私。足取りは軽く、うきうきわくわく、心の中でスキップしながら向かいました。

入口の大きな瓢箪はインパクト大

夕食は「鰻土鍋コース」を選択。と言っても、先付け、椀物、お造り、揚げ物など、懐石料理の一般的なものから始まります。特に印象的だったお料理は、お醤油不要の旨みたっぷり鯵寿司、体に染みわたる茄子と冬瓜のしじみ汁、そして大胆に紙に包んで手持ちでいただく松茸の天ぷら。
上品ながら堅苦しくなく、目でも舌でも楽しめるお料理は、1時間半程かけてゆっくりいただきました。

鯵寿司
茄子と冬瓜のしじみ汁
松茸の天ぷらと伏見唐辛子の天ぷら

そしてお待ちかね、こちらに宿泊した目的のひとつ「鰻の土鍋ごはん」が登場しました。

鰻の下にはごぼう生姜ごはん

鰻は関西風でしょうか。外はパリッと、中はふわっと。この時点で程良く満腹でしたが、あら不思議、どんどん入っていきます。そしてもちろん完食。
なお、食べ切れなかったときはおにぎりにしていただけるようですから、夜食としても楽しめるでしょう。

そして朝食、昨夜たくさん食べたにも関わらず、あら不思議、どんどん入っていきます。選べる焼き魚はぶりがお気に入り。肉厚でジューシー、丁度良い塩加減でご飯がすすみます。

ご飯がすすむ品数豊富なおかず
選べる焼き魚 ぶり

富士屋旅館は2002年に閉館、その後2019年にリニューアルオープンしましたから、モダンな旅館が好きな方、クラシックな旅館が好きな方、どちらも楽しめる新旧ハイブリッドのような旅館です。
ちょっと頑張った自分へのご褒美に、ちょっと背伸びをして宿泊してみてはいかがでしょうか。きっと心奪われる滞在になることでしょう。私は二度宿泊し、二度とも心奪われました、なかなか現実に戻って来られないほどに。

富士屋旅館さん、お世話になりました。三度目の宿泊もさせていただきます。  ファンファン

湯河原温泉 富士屋旅館 公式HP

https://fujiyaryokan.jp/

ファンファン
潔癖症の温泉愛好家♨
仕事に忙殺されていた20代、静養目的で訪れた四万温泉にて、温泉の持つ癒やしの力に魅了され温泉宿めぐりに目覚める。現在は都内メディカルグループの管理部門など温泉とは無縁の仕事に従事しつつ、休日には各地の温泉宿で静養している温泉愛好家。潔癖症の自分でも寛げた温泉をご紹介します。Instagram旅の記録⇒https://www.instagram.com/funfun_100/
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