温泉の法規制の歴史について① – 温泉会議
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温泉×○○、温泉地の多様性、ローカルな取組こそが最先端・・・。環境省自然環境局・温泉保護係長の経歴をもつ『Mr.K』が、日々心に灯す温泉へのわきあがる思い。

温泉の法規制の歴史について①

前回は泉質名の付け方について記載させていただきました。

今回は初回のテーマに戻り、温泉の法規制について記載させていただきます。

複数の自然源泉が川となって流れる・那須大丸温泉の露天風呂

温泉法は1948年制定の法律ですが、温泉自体は日本書紀や古事記にも出てくるように古くから存在し、利用されていました。

長らくは自然に自噴した温泉が利用されてきました。当然ながら、温泉自体は貴重なものでした。

しかしながら温泉があることで宿泊者が増やせる、また1870年代頃になると上総堀(かずさぼり)という掘削方法が生み出され、温泉掘削が飛躍的に増えていきます。

その結果、濫掘(らんくつ)状態が発生し、需給バランスが狂ったことで温泉枯渇化が起きてしまったのです。

明治時代には、この状態を取り締まるため、地方長官の取締命令によって掘削の制限をかけることになりました。

(参考)北海道庁令74号(明治20年)

 「鉱泉所在地の近傍に於いて井泉等を掘削せんとする者は所管区役所の認可を請うべし」

1948年に制定された温泉法では「動力の装置」つまりポンプの設置にも許可が必要とされていますが、明治期にはポンプで温泉をくみ出すことが無かったため「掘削のみ」に注目していたようです。

温泉に対する法的なアプローチは時代の背景を踏まえて変わってきています。次回は温泉の入浴面での記載をさせていただくつもりです

楠本浩史
兵庫県神戸市有馬温泉近くの出身。平成18年環境省入省。平成25年より通算6年間、環境省自然環境局において温泉保護係長ほかとして温泉行政に従事。 温泉法の解釈のみならず、「温泉×〇〇」の掛け算によって創られる「温泉地の多様性」「ローカルな取組こそが最先端」をモットーに「新・湯治」といった考え方を提案。現在は、環境省の20%ルールを活用して全国の温泉地の活性化について妄想中。
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