温泉の成分分析について
温泉会議読者のみなさま。本年もよろしくお願いします。
今年は兎年ですが、山形県・赤湯温泉の熊野大社は隠し兎で有名です。縁結びに絶大な効果があるとか。。。
ちなみに、赤湯温泉は今年で開湯930年。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物泉です。
さて、今回の話題は、前回予告していた「成分分析」についてです。温泉の成分はどのように分析されて、どうやって泉質名がつけられるのでしょうか。
温泉の成分等は温泉法第18条第1項に基づき掲示しなければなりませんが、専門的な知識を要するため成分分析を実施することができる者を登録制にしています(温泉法第19条)。これを「登録分析機関」と呼んでいます。
温泉の成分等の掲示が必要な方、つまり旅館・銭湯等は、この登録分析機関に依頼を行って、温泉の成分を分析してもらい、その結果を掲示することになります。
温泉の分析はどう行われているのでしょうか?
実は分析方法については環境省が「鉱泉分析法指針」という基準を示しています。この鉱泉分析法指針を踏まえて測定を行いますが、そうすると温泉の分析にも関わらず「鉱泉」となっています。 鉱泉とは「温度が25度以上の泉水または一定の物質」が含まれているものとなり、温泉より狭い概念となります(温泉には鉱泉に加えて、地中から湧出する水蒸気及びその他ガス(炭化水素を主成分とするものを除く)が含まれる)。
登録分析機関は、この分析法に基づき温泉であるか否かを判断します。加えて、一定の成分が含まれていれば「療養泉」として泉質を名乗ることが可能です。
泉質名が無い温泉もある
温泉だけど泉質名が無い温泉というものが実は存在しています。泉質が無い温泉には興味が無いといった声を聴くことがあります。
たとえば、美肌のサポーターとして活躍する「メタケイ酸」が既定値以上含まれていれば温泉法上は温泉として認められるのですが、しかしながら、メタケイ酸のみでは泉質名とならず、泉質名のない温泉(温泉法上の温泉)となります。
温泉地を選ぶ際には、泉質名だけでなく成分にまで注目すると好みの温泉が見つかります。
ぜひ、お風呂に入る前に、脱衣場で分析表を見てください。