ヨーロピアンな魚使い小僧湯口【咲花温泉柳水園（女湯）】

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小松歩

ユグチスト/温泉ライター

くせ毛でヨーロピアンな顔立ちの全裸少年といえば「小便小僧」ですよね。こちらの湯口さんもそのように見えますが、少年の下の魚から湯が出るフェイクタイプ。少年が魚のしっぽを巧みにあやつる高等テクニックを有する小僧さんです。

咲花駅から徒歩２分の素朴な温泉宿

新潟県五泉市に湧く咲花温泉は、新潟駅から車でも電車でも１時間足らずで行ける、ほど良い距離間の温泉地。歓楽的な要素は薄く、レトロで落ち着いた雰囲気です。JR磐越西線の「咲花駅」周辺に１０軒ほどの宿が立ち並んでいます。調べてみると、開湯は１９５４年とのことで、その雰囲気の割には新しめの温泉地なのですね。

今回ご紹介する「柳水園」は、咲花駅から徒歩２分に位置する温泉旅館。温泉街の玄関口にあるお宿ですね。館内の休憩スペースには、おばあちゃん家にありそうなお菓子詰め合わせにカゴがあり、湯上りにいただくことができます。温泉宿ではありますが、朝から夜まで日帰り入浴も受け付けていて、地元の方々が銭湯感覚で利用しているようです。この日も常連さんでにぎわっていました。

美しいエメラルドグリーンでガソリン正露丸漬け玉子味がクセになるお湯

浴室は男女別内湯のみ。それぞれ５、６人が入れそうな湯船がひとつのシンプルなつくりです。これまたシンプルな無地タイル張りの浴室ですが、源泉の力が凄まじいのか、壁がはがれ、朽ち果てかけ、腐敗、いや発酵しています。お湯に飲み込まれて自然に還りかけているのでしょうか。圧倒的なひなびた空間に仕上がっています。神々しい。

泉質は、含硫黄－ナトリウム・カルシウム－塩化物・硫酸塩泉。エメラルドグリーンのお湯は、アブラブレンドの濃厚な硫黄の香り。この鼻の粘膜にこびり付いて離れないアロマが最高なんですよね。飲んでみると、正露丸をガソリンに溶かしたダシで玉子を一夜漬けしたような味わい。毎日はきついかもしれませんが、週に一度の健康習慣として飲み続けたいクセになる飲み口です。

魚を強引に操り源泉を注ぎ込むヨーロピアンな小僧湯口さん

そんな女湯にいらっしゃる湯口さんは、くせ毛のヨーロピアンな少年の像です。この顔立ちに全裸といえば「小便小僧」を想起させますが、こちらは少年下の魚から源泉が出るフェイクタイプ。少年が魚のしっぽを巧みに操り、ジョバジョバと源泉が投入されています。

自らの小便ではなく、あえて魚を使う高等テクニックを有する小僧。ブルーチーズのようにこびりついた析出物がオシャレだね。若くてきれいで愛にあふれるやさしいお母さんと、高貴で厳格かつ穏やかな良いお父さんのいる裕福な家庭で、小さいころから英才教育されたのでしょう。無邪気に育ちながらも、魚使いに気品があふれています。そもそもこれは魚なのか、イルカなのか、鳥なのか。きっと彼の世界にしか存在しないファンタジー生物なのでしょう。立派な男になるんだぞ。どうぞよろしくお願いいたします。