壱岐湯本温泉・ウニ獲りもラスト縄文人直伝 – 温泉会議
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北の湯から南の湯から。日本全国の温泉を繋ぐ「湯戸端会議室」。温泉に浸って地元のレアな話が聞きたくなったら、この場所へお立ち寄りください。

壱岐湯本温泉・ウニ獲りもラスト縄文人直伝

壱岐湯本温泉 平山旅館 代表取締役女将

長崎県・壱岐島に約1700年前から湧出していた湯ノ本温泉は、塩と鉄が濃~い温泉で、体の芯まであたたまるいい湯。温泉をこよなく愛し、縁あって平山旅館の3代目に嫁ぎ、子宝にも恵まれて離島ぐらしをしています。

平山旅館の内湯。露天風呂や貸切風呂も全て自家源泉かけ流し。

壱岐の春は忙しい。3月初めから蕗(ふき)のとうが出始め、その後タラの芽が出る。私の楽しみは、島の食材をせっせと集めては旬を味わい、お客様に提供すること。島は海と山、両方の豊富な食材に恵まれているので、一年中色々な旬が味わえる。フードマイレージほぼ0だと思う。

4月からはいよいよウニ取り、そして和蜂が分蜂するので、その蜂(の群れ)を入れる巣箱づくりのごくごく一部を手伝う。

今年は例年より随分早く分蜂が始まった。私がラスト縄文人と呼んでいる義父は3月末から島をパトロールしては1日多い時で5つ、分蜂した蜂(の群れ)を巣箱に納めている。私は、尊敬するラスト縄文人をストーカーしながら、彼の蜂の扱いや豆知識を追い、記録し、できることは真似してみる。簡単そうに見える一つ一つの動きが、実はなかなか難しい。

今日は巣箱に使う、竹ひごづくりを手伝った。ラスト縄文人は竹からありとあらゆるものを作ることができる。旅館用のちょっとしたお猪口を作ったり、前菜のお皿を作ったり。また露天風呂の壁も竹を貼って雰囲気を出している。昨年の母の日には、私の子供達からのプレゼントの総監督をしてくれた。竹選びから始め、手早く切ったり削ったり紐をつけたりして「竹のつるし花瓶」を作り、その中に野草の草花の摘んで入れる。子供達からもらう100%自然を活用した素敵なプレゼントだった。

今日は蜂の巣箱用の竹ひごづくりをした。見よう見まねで手伝う私に竹の削り方を教えてくれる。なるほど、竹をひざに固定して、刃を動かすのではなく、竹を手前にひいて削るんだね。そうすると均等に、力をあまり入れずに削れるんだね。慣れてくると楽しい。「お義父さんどうどう?」と聞くと、「上等」と返事をくれる。今回のは及第点らしい。

4月初旬頃からウニ取りが始まる。この時期は紫うにがメイン。実はウニだけでなく、鮑・サザエ・トコブシなどの貝も採ってよい。が、なかなかみつからない。最近は3世代(ラスト縄文人の義父、私たち夫婦、子供達)で行く。子供等は半分は遊びながらであるが、義父からどこを探せばいいか、何を探すべきか、何が美味しいか、などを教わっている。これぞ食育!!!私と主人はただただひたすら獲る。透き通ったとってもきれいな海に足をつけながら、無心に海の中をのぞくこの時間は瞑想に似た感じでとても好き。

平山真希子
壱岐湯本温泉 平山旅館 代表取締役女将
長崎県の離島、壱岐の島の平山旅館の3代目女将。千葉県出身。P&Gで10年、群馬県のみなかみ町のホテル・観光協会で5年勤務し、縁あり平山旅館の3代目に嫁ぐ。双子男児を含む3人の子育てをしながら、循環型社会を実践する旅館と壱岐の島の魅力を発信中。日本と温泉をこよなく愛す温泉ソムリエ、猟師(網・罠)。壱岐湯本温泉 平山旅館 https://iki.co.jp/
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