2時間湯治、風呂でなにすれば?
「2時間もお風呂でなにすればいいんですか?」
栃尾又温泉で湯治をなさる初めての方が、まず最初に抱く疑問かと思います。
栃尾又温泉のお湯は源泉温度が約36度、浴槽内は34~35度程になるため、長時間の入浴が可能で、昔から「長湯」というじっくりと、長く温泉に浸かる入浴法が伝承されてきました。
現在でも、常連のお客様で1日3時間以上、お風呂に浸かっている。という熟練の湯治客もいらっしゃいます。
ちなみに、一般的には30分以上の入浴は推奨されていませんが、お医者様などに尋ねると、
「あくまでも40度前後の温浴を想定した一般論の話です、医学や科学で全てが解明されているわけではないので、伝統的に親しまれている範囲内であれば問題ない」
とのこと。
話がそれましたが、では、お風呂でなにをしているのか?と、言いますと。
①ぼーっと、する
②本を読む
③周りに迷惑が掛からないように、すこ~し、伸びたり、縮んだり
以上。
特に会話禁止ではありません。静かにしたい方もいらっしゃいますので、そこはお互い、常識の範疇でお願いしています。電車で大声出したら迷惑ですよね?それと一緒です。
「え?そんだけ?ちょっと無理かも」
と、思った方、もうちょっとだけ。
思い出して欲しいのですが、最近、ぼーっと、したの、いつですか?
たぶん、30分以上、睡眠以外で、ぼーっとすること、ないんじゃないかと思います。
仕事の合間、休憩時間、家に帰ってから、寝るまで、
パソコン、見てませんか?
スマホ、見てませんか?
おそらくですが、皆さん、とても忙しくなさっているので、ほとんどの方が30分以上、なにかしらの情報を脳に入力しない、という状態はないんじゃないかと思います。意図的に作っている方は別として。
ちょっと、情報をインプットする時間を止めてみる。
それだけでも、脳は、体は、心は、十分に休まります。
考えてみて欲しいのですが、現在、私たちの置かれている環境は睡眠以外の約16時間程、スマホとパソコンからひっきりなしに情報がなだれ込んできます。
私たちの意識できる部分以外で、脳と心はその間ずっとフル稼働。疲れるわけです。だから、湯治をするときくらいは、脳を、心を、休めてあげて欲しいと思っています。
普段気にもかけないこと、
温泉の注がれる湯口の音
ゆらゆら揺れる、温泉の水面
トクトクと脈打つ、心臓の鼓動
冷たく、そして温かい、温泉の温度
ただ、ぼーっと、感じてみてください。たぶん、だんだんと「心地いい」と感じるはずです。
もし、心地良い、と感じなければ、「ああ、合わなかったな」と諦めてください。笑
湯治や温泉は全知全能、万能ではありません。人間同士と一緒で、合う合わない、好き嫌い、が当然あります。
日本人のマジメな気質で、なにかしていないと不安。という人が多いようにも思います。悪いことではないのですが、
「たまには、なんもしない」
ことも、是非試してみていただきたいと思います。
「なにもしない」というのも、翻して「なにかする」ことになりますので。