こんがりきつね色の「鶏の唐揚げ」湯口【板留温泉 斉川(大浴場)】
こんもりモコモコと析出物に覆われた湯口さん。こんがりきつね色に揚げられた「鶏の唐揚げ」のような風情です。硬めの衣はサクサクで、一気に噛みしめると中はジュワっと肉汁にあふれそう。あぁ、唐揚げが食べたい。
居心地のいいレトロモダン空間の小さなお宿
青森県黒石市の山沿いに形成される黒石温泉郷。その一角をなす板留温泉は、数軒の旅館や民宿が点在する静かな温泉地です。アクセスも良く、新青森駅からレンタカーに乗り込み50分ほど。高速利用であれば約30分のドライブで到着します。
そんな小さな温泉地にある「旅の宿 斉川」は、全10室ほどの小さな旅館。2019年にリニューアルされたばかりで新しく、設備も充実しているので、快適に過ごすことができます。館内は、ビートルズが流れ、大きなコケシのような民芸品や、ヨーロピアンのレトロなステンドグラス照明、イスなどがあしらわれたレトロモダンな空間。明るくて楽しい女将さんの影響もあり、どこかほっこりするような居心地のいい雰囲気のお宿です。
ツルキュッキュでミネラルたっぷりのお湯が「源泉かけ流し」
斉川のお風呂は男女別大浴場と、貸し切り風呂があります(貸し切り風呂の湯口さんも素晴らしいので別記事で紹介します)。大浴場の内湯は、10人以上が入れそうな広々としたつくりです。露天風呂は小さめな信楽焼の陶器風呂で、内湯とは違った風情を楽しむことができます。
泉質は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。もう泉質名からミネラルたっぷりな感じがうかがえ、嬉しいです。源泉温度は60度を超えますが、絶妙に湯量を調節し、加水・加温・循環・消毒無しの「完全かけ流し」で湯船を彩ってくれています。少しピリッとする、熱めの適温が最高の入り心地です。
無色透明のお湯は、ほんのりワイルドな鉱物の香りがただよいます。ツルツルスベスベは肌触りの中にキシキシ感が同居し、しばらくつかっていると全身にまとわりつくような感触は癒しのひとときです。
舐めてみると、少し舌に引っかかるようなピリッとするクセのある甘うまダシ味。子供のころ、私はメロンが大好きでした。年に数回だけだべることができるメロンが美味しくて名残惜しくて、皮のスレスレまでかじっていました。ここのお湯は、あの時のメロンのような苦くて少し甘い懐かしい味がする飲み口。夏の思い出の懐かしい味がする源泉でした。
こんがりときつね色になった揚げたての鶏の唐揚げ的湯口さん
熱々の源泉を効果的に湯船に注ぐ重役を担う湯口さん。広い内湯は強靭な鉄パイプの身体をお持ちです。そこにはまん丸でモコモコに析出物が成長し、とても魅力的なフォルムになっています。
その風情は、衣をしっかり油で揚げて、きつね色に仕上がった「鶏の唐揚げ」のよう。きっと「しょうが醤油」で漬け込んで丁寧に作られたのでしょう。硬めの衣はサクサクで、歯を立ててガッと噛みしめると、一気に崩れジュワっと肉汁あふれ出し、鼻を抜けるようなしょうがの香りが広がりそうです。あぁ、お腹いっぱいになるまで唐揚げが食べたい。
ちなみに、露天風呂には純白な析出物のミニプードル湯口さんが首を垂れて待っていますよ。
こちらの湯口さんたち、定期的にトリミングされているようなので、訪れるタイミングで、いろんな表情を見せてくれるようです。私としては、もっともっと大きく育ってほしいですが、さっぱりした湯口さんにお会いするのもまた一興ですね。
温泉情報
【板留温泉 旅の宿 斉川】
住所:青森県黒石市板留字宮下8-1
電話:0172-54-8308
URL:https://ryokansaikawa.com/
泉質:カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(低張性 中性 高温泉)
源泉温度:60.6℃
pH:7.39
湧出量:438ℓ/分(動力)
加水:なし
加温:なし
消毒:なし
利用状況:完全かけ流し
※訪問時の情報です(2021年8月)
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