窓際族的なくたびれロングホース湯口【長湯温泉 きもと温泉】
雑に配置された湯口さんには、あきらめに近い気だるさが漂うくたびれ感。そんな湯口さんですが、湯口業務はしっかりこなすいぶし銀の仕事人です。
長湯温泉の公衆浴場的な温泉
大分県の長湯温泉は、日本一の炭酸泉として知られる温泉地。シュワシュワなラムネのようなお湯から、黄茶褐色の濃厚なお湯など、色々な源泉が楽しめます。高級旅館から素朴な素泊まり宿、公衆浴場のような日帰り温泉と、温泉の形態も様々です。
今回ご紹介する湯口さんがいらっしゃるのは、「きもと温泉」という温泉施設。県道30号線と47号線が交差するところに位置している、「きもと温泉商店」併設の日帰り温泉です。
浴室は2か所あり、昔からある「黒岳」が料金150円。比較的新しい「大船」は200円の金額で入ることができます(その他、家族湯あり)。
どちらに入るか迷うところですが、「大船」の入り口には、温泉成分でテロテロのドロドロになった源泉井戸が。そんな魅力的なモンスターがゴボゴボと音を立て、私たちを歓迎してくれています。というわけで、あまり迷わず「大船」のお風呂へ。
シンプル析出物ワールドな味わい深い湯船とお湯
浴室は、4、5人入ればいっぱいの四角い湯船がひとつのシンプルなつくり。その湯船には、茶色い析出物がまんべんなくコーティングされています。千枚田みたいなやつ、チクチクしているやつ、ドクドクと血管のように血走っているやつなど、色んな析出物と戯れることができる「析出物ワールド」なお風呂です。
泉質は、マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉。黄土色の濁り湯は、金気と土っぽい香りの奥に、硫黄とモールがわずかにいらっしゃいました。そんなアロマの四重奏が、トップ・ミドル・ラストノートとすべての段階でお鼻を楽しませてくれます。
舐めると、甘鉄塩ダシ微炭酸な複雑な味わい。年上の大人たちと飲んだ時しか行かないような、ちょっと背伸びして入るバーにしかない、樽の香りがしっかり残ったウイスキーのハイボールのような上品な味わいでした。
ベテラン感のあるロングホース湯口さん
圧巻の源泉力を誇るきもと温泉・大船を支える湯口さんは、柔軟な身体が特徴のロングブルーホース。
びろーんとダルそうに横たわる姿は、まったくやる気が感じられません。くたびれた窓際サラリーマンのような風情ですが、仕事はきちんとこなしています。まさにいぶし銀。しょうがねぇなぁ、やってやるか、という感じで正確に湯口業務をやり遂げていただいております。
気だるさただようロングホース湯口さん
ブルーな身体には、白と茶の析出物がチビチビとこびりついています。ベテランならではの崩した着こなしがオシャレです。イケオジですね。
そんな老練の魅力が素敵な湯口さん。もっともっと渋く味わい深い湯口さんになってくださいね。ありがとうございました。
温泉情報
【長湯温泉 きもと温泉】
住所:大分県竹田市直入町大長湯桑畑3273-1
電話:0974-75-2908
URL:―
泉質:マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉(低張性 中性 高温泉)
源泉温度:48.9℃
pH:6.8
湧出量:?ℓ/分(自噴)
加水:なし
加温:なし
消毒:なし
利用状況:かけ流し
※訪問時の情報です(2020年3月)
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