おばあちゃん曰く、「旬のものは贅沢品だった」雪国の保存食文化
自在館の若旦那です。近年、山菜といえば「天ぷら」とうイメージが強いようで、シーズンになると「山菜の天ぷらとかありますか?」というお電話をよくいただきます。
だいぶ以前ですが、うちのおばあちゃん(先代の女将)の、「山菜の天ぷらなんてば贅沢品だったてえ」という言葉を聞いてから、宿で山菜の天ぷらはあまりしなくなりました。
豪雪地帯魚沼の冬は長く11月末から5月頭くらいまでの約半年が雪に覆われる厳しい環境です。当然、畑や山も雪の下に埋まってしまいます。そう、野菜とかとれないんですよ。半年間。
だから春先にとれた山菜や収穫物は基本「塩漬け」か「乾物」にしたそうです。そうしないと冬に食べるものがなくなってしまうからです。ここらへんでは今でも「うち豆」なんかはスーパーで売られていて、家庭でもよく使われています。いや、使っているはず。使っていますよね?皆さん・・・・
旬のものを旬の時期に、というのはいわゆる「贅沢」だったそうです。もちろん、まったくしないというわけではありませんが、今でいう外食の楽しみのように、たまのご褒美のようなものだったのでしょうかと想像します。
だから、数年前から山菜料理も基本的には塩漬けのもの等、越冬用に仕込んだものを使うようにしています。それが雪国魚沼の培ってきた文化。山菜の天ぷらは正直、全国どこでも食べれてしまう。文化を培ったその土地で、その土地の文化を感じることがその地で提供する醍醐味かなと。
今は、昔ながらの煮物も生かしながら、新しい形で活かせるように、あーでもない、こーでもないと、日々台所の皆さんで奮闘しております。いいアイデアございましたら絶賛募集中でございます。
文化を継承しながらも、温故知新、新しいことを楽しんでいければと思います。
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