温泉は生きている – 温泉会議
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『現代湯治』を複数のメンバーが語り合うように記事を執筆します。温泉でストレスを放電、心をふわりと軽く。ひとりでもふらりと行ける温泉宿の毎日をのぞいてみませんか。
温泉は生きている、トクトクと脈打ちながら

自在館の若旦那です。温泉は生きている、このお仕事をしているとそれを強く感じます。

例えば、分かりやすいのが泉温の変化です。特にぬる湯の温泉ではそれを感じやすくなります。人の体温に近い35度前後、少しでも下がれば冷たく感じますし、少しでも上がれば温かいと感じます。栃尾又のラジウム温泉は32~36度の間でゆらゆらと揺れています。たぶん、細かくみれば数分単位で変わっていることもあるのかと思います。

他に、栃尾又温泉では体に気泡が着いたり着かなかったりします。これも時期によってまちまちです。すごく着くこともあれば、まったく着かないこともあります。着色のある温泉地では、色合いなどが変わってくるそうですが、栃尾又温泉は無色透明なのでそこは変わりありません。でも、毎日色の濃さを観察するのも、おもしろそうだと思ってしまいます。職業病でしょうか・・・。

人間と同じで、温泉も毎日、調子のようなものがあるのだと感じます。「今日はなんかすごく調子がいいな」という日もあれば、「ダメだ、今日はもうやる気ゼロ」みたいな日もあるでしょう。ロボットじゃありませんから。生き物であるがゆえに揺らぎがあります。

源泉掛流しの温泉を楽しむのであれば、そういった日々の温泉の変化や、それと関連する外気温との関係性、そして、その環境をその地の湯守がどのように解釈し、アプローチしているのか、そんなことに想いを馳せるのも、深く温泉を楽しむ視点だと思います。かなり、ディープではありますが。

温泉とは生き物であるがゆえに「揺らぐ」もの、その「揺らぎ」を感じることも一興だと思うようになりました。今は科学技術が発展し、なんでも整えることが出来ます。人に好ましいように、人が使いやすいように、売れる様に。

でも源泉掛流しの温泉では、そうはいきません。その時の地球の気分、正確に言えば、少し前に振った雨の量や地球の環境に由来します。そういった不確定要素を時には楽しみ愛でることも、温泉を楽しむということだと思うようになったのです。

自然にはたくさんの揺らぎがある、これからもそれを感じられる場所でありたいし、揺らぐことを楽しめる人間になりたいなと思います。

さてさて、お風呂掃除、お風呂掃除・・・・・

星宗兵
若旦那
400年続く湯治宿(新潟県・栃尾又温泉 自在館)の若旦那、趣味は野球・スキー、ゴリゴリの体育会系、暇があれば山遊び。温泉が湧き続ける限りこの里山を守りたい。
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