鳴子温泉ノスタルジー【気づけば”ただいま”と言っていた、それは旅じゃなく帰省だった】
突如現れた黄色い建物!現代アートに浸かる唯一無二の湯。
8月5日から6日まで一泊二日で宮城県の鳴子温泉郷に訪れました。そこで最初に訪れたのは、早稲田桟敷湯。早稲田桟敷湯は、湯の花が咲く保湿効果に優れた天然温泉です。泉質は、含硫黄・ナトリウム・硫酸塩・塩化物泉です。硫黄で血行が良くなり、他の温泉とは段違いの汗が出ると感じました。ですが、まとわりつかない心地よい汗で、すっきり爽快。

街中を歩いていると、とてもインパクトのある黄色い建物が現れます。現代アートを感じる外観でした。階段を降り、中に入ってみると、下駄箱は銭湯にあるようなもので、暖簾はシンプルだけど他の温泉ではあまり見ない唯一無二を感じるデザインでした。
休憩スペースはお昼頃、外から見ると日が差していて幻想的な空間を楽しめます。
脱衣場の椅子には車のタイヤがついており、細かな箇所までアートが施されていました。
洗面台は小学校を思い出し、懐かしい気持ちになり、ノスタルジーを感じられるでしょう。床は地熱により、暖かく独特な感覚になります。

温泉に入ると、天井が広く開放的な空間でした。
温泉に段々近づくにつれ、硫黄の匂いに包まれ、温泉に入りたい気持ちが高まります。
湯口は、まるで源泉からそのまま流れてきているようでした。

源泉は、1つの場所から複数の温泉へも配湯されているそうでその様子を眺めることができました。
センスあふれる空間と丁寧な接客が魅力!ランチや絵付け体験も楽しめて、通いたくなる心地よさ。
cafe gutto(カフェグット)に入った印象はおしゃれで、店長の渡辺亜沙人 さんが笑顔で迎えてくださり、とても居心地がよいカフェだと感じました。

店内は開放的な空間が広がっており、レコードやこけしなど置物はレトロで可愛らしく、オリジナリティと鳴子の良さの融合が素敵でした。

店長の亜沙人(あさと)さんは一人でこのカフェをきりもりしています。鳴子の地域活性を応援したいと思い、移住してきたそうです。ランチは鳴子の食材を使用した素材をしっかり味わえるグットランチプレートをいただきました。このプレートは様々な料理を少しずついただけて、欲張りな私にとっては口の中がバラエティ溢れる風味と触感で楽しく、大満足でした。中でもキッシュは、夏野菜の触感がよく、野菜同士がそれぞれの風味を引き立てていて、味わい深かったです。

また、cafe guttoは鳴子こけしの絵付けモナカ体験も行っており、実際に体験してきました。こけし絵付け体験をモナカに色砂糖を使って行うことで、こけしに絵付けするよりも手軽にできることと、完成したこけしを写真に撮ると映えることが魅力だと感じました。

こけしは2つのパターンがあり、1つは鳴子の伝統こけしの型が彫ってあるこけしに色付けするもので、2つ目は自由に色付けするパターンです。自分の個性を表すことができてクリエイティブで面白かったです。できあがった「こけしモナカ」はアイスクリームをつけて食べることができます。かわいくて美味しい!!この体験なら、やりたい若者も多いのではないかと感じました。

cafe guttoはスタイリッシュで温かみを感じる空間で、ランチも絵付け体験も満喫できて、また訪れたいと強く感じました。
鳴子温泉のリビング?!地域と団らんの場「玉子屋」
次に訪れたのは「玉子屋」。中に入ると鳴子名物のこけしはもちろん。地域の情報誌やオーナーである宮本武さんの趣味にあふれた空間が広がっています。都内の画一化された店とは異なり、地域色溢れる懐かしさを感じる空間に思わず写真を撮ってしまいます。

ご夫婦で営まれているこの店は、入店と同時に家に帰ってきたような安心感がありました。宮本さんが手造りするわらび餅や栗最中などをはじめとする和菓子から、シュークリームやリンゴタルトなどの洋菓子が並び、ショーケースを見ているだけでもお腹が空いてしまいそうです。

商品を頼むとご夫婦が「どこからいらしたのですか?」と声をかけてくださりました。落ち着いた空間とご夫婦のにじみ出る優しさからか、ついつい話が進んでしまいます。鳴子の情報を得るのはもちろん、そこで生まれた新たなコミュニティがまさに、地域と観光客の憩いの場となり鳴子温泉のリビングといえるでしょう。おそらく訪れた人の大半が「また来ます!」と声をかけてしまうはずです。
凛とした緑に包まれた空間で行う茶事体験
山荘で旅館大沼の女将に教えていただきながら、茶事体験を行いました。山荘は窓が大きく、緑を感じることができて空間自体が素敵で、心が浄化されます。

掛け軸や生け花を、その時々の来訪者に合わせて変えていると伺って、そのさりげない心配りにとても感動しました。訪れる人のことを思って空間を整える姿勢に、あたたかいおもてなしの心を感じました。

茶事体験では女将さんの無駄のない茶道の動きやしゃんとした姿勢を見学して、お菓子とお茶の作法を学びました。

今まで、茶事体験を行ったことがなかったので作法の美しさと、お茶の美味しさに感動しました。

どこか懐かしさを感じる澄み切った空間の山荘は、温泉後の休憩としても立ち寄れると伺ったので、次回はそのような利用の仕方もしてみたいです!
都会の音が届かない静寂のレトロタウン
鳴子温泉の街並みは、都内に住む人々もなぜだか「地元に帰ってきた」と感じてしまうような雰囲気が佇んでいます。昔ながらの原色でカラフルな看板や時々見かけるシャッターの降りた店など、都内では感じることのできないゆったりとした時間がそこにはあります。

その懐かしさがなぜか新しく斬新に感じてしまい、今の時代だからこそ映える景色があるのだと実感しました。店の前には店主の都合により臨時休業をするという張り紙の貼ってある店や、私たちが入店した後に奥ののれんを潜って店主が出てくる店など、郊外ならではの時間の流れに、日々の慌ただしさをふっと手放せるような気がします。

街中にシンボルとして頻繁に登場する鳴子名物の「こけし」は、ポストやガードポールなどに形を変えて様々なところで目にすることができます。地元のモチーフとして地域に愛されながらも、街を守る存在でもあるこけしに、おそらく愛くるしいさを感じること間違いなしでしょう。そんな鳴子温泉の街並みに潜むこけしにも注目しながら街歩きをするのも一つの楽しみです。


このように鳴子温泉郷では、レトロな街並みや人のあたたかさに触れ、どこか懐かしく、心がほっとするような時間を過ごすことができました。昭和の面影が残る温泉街、ゆったりと流れる空気、──どれもが、忙しい日常を忘れさせてくれる特別な風景でした。そして何より、観光地でありながらも肩の力を抜いて過ごせる居心地の良さに、まるで自分の地元に帰ってきたような安心感を覚えました。気づけば「また来たい」と思っている自分がいて、この町が“帰りたくなる場所”として心に残っていることに気づかされます。


